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横浜マンションの杭 長さ不足 致命的ミスなぜ防げず 住民は業者対応に不信感

社会 | 神奈川新聞 | 2014年6月11日(水) 03:00

傾きが生じ、施工ミスが発覚したマンション=横浜市西区
傾きが生じ、施工ミスが発覚したマンション=横浜市西区

建物を支える杭(くい)が固い地盤に届いていない施工ミスが発覚した横浜市西区のマンションは耐震性の高さを売りにしたファミリー向けマンションだった。根本的で致命的なミスはなぜ見落とされたのか。発覚の経緯を含め、売り主・施工主に対する居住者側の不信感は根強い。改修・改築の技術的な難しさもあり、問題は尾を引きそうだ。

「聞いたことのない施工ミス」。市建築安全課の担当者はそうあきれる。杭が「支持層」と呼ばれる強固な地盤に達していないという構造上の欠陥に「施工業者は杭を一本一本確認する義務がある」と指摘する。

施工を手掛けたのは準大手ゼネコンの熊谷組だが、売り主の住友不動産を含め、その対応に住民側は不信感を募らせる。

ボーリング調査によって両社が施工ミスを認めたのは5月上旬。マンション管理組合によると、ずれは2003年の分譲の1、2年後から見られ、再三調査を申し入れたが、「地震などの衝撃を吸収した結果で、問題はない」として、応じなかったという。

マンションは02年2月に売り出され、262戸すべてが即日完売という人気物件で、住宅性能表示で耐震等級2という通常より高い耐震強度を売りにしていた。

建物はいま、南東方向に最大で約6センチ沈み込み、傾いているという。

■地形考慮したか

なぜ施工ミスは起きたのか。

市建築安全課によると、設計図書や建築確認申請の書類・手続きに不備は確認されていないといい、「工事中の問題と考えられるが、制度上、見抜く手続きはなかった」と話す。

マンションを建てる場合、複数箇所をボーリング調査し、掘り出した土の性質から支持層までの深さを把握する。次に、建物を支える鉄筋コンクリート製の杭を入れるための穴を掘り、ボーリング調査で掘り出した支持層と同じ土を確認した上で、杭の施工に取りかかる。

熊谷組は「掘削土からは支持層と同種の土が確認されたことから支持層に到達したと判断したと推察される」としているが、1級建築士で建築・住宅ジャーナリストの細野透さんは斜面地に立つマンションの地形的な問題を指摘する。「谷地になっており、地下の支持層の一部がくぼんでいた可能性がある。こうした場所では、杭を打つすべての場所をボーリング調査することでミスを防止できる。通常の施工法通り、恐らく数カ所しか調査していないのではないか」

■改修も改築も難

今後は行政指導に基づき改修・改築が必要になる。住友不動産は仮住まいを用意し、住民の一部は引っ越しを始めている。希望者には買い取り補償にも応じるとしているが、住民は「当然の対応。問題を放置してきた結果だ」と憤る。

そもそも課題は少なくない。杭の補修・補強は、既存建物をジャッキで支えて杭を入れ替えるなど極めて高度な技術が必要になる。

もう一つの選択肢は改築だが、5棟262戸にまたがる居住者の合意形成は容易ではない。細野さんは、傾きが発覚していない4棟についても「問題がなくてもイメージダウンの影響で価値が目減りする可能性がある。迅速で入念な調査によって安全性を証明することが欠かせない」と話す。

問題発覚を受け管理組合は10日、マンション内のホールで会見し「10年余り住み、小学校や病院など地域とのつながりは深い。いきなり仮住まいといっても簡単にはいかない。納得できる状況ではないが、住民の意見をまとめながら住友不動産と交渉していきたい」と話した。

【神奈川新聞】


傾いた棟(奥)と隣りの棟でずれが生じた接続部と手すり(マンション管理組合提供)
傾いた棟(奥)と隣りの棟でずれが生じた接続部と手すり(マンション管理組合提供)

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