150以上の国と地域から来た約7万5千人の外国人が暮らす横浜市で、「やさしい日本語」で情報を発信する取り組みが進められている。6月には窓口を訪れる外国人に分かりやすく伝えるための職員向けマニュアルを作成。今後、行政用語の解説集も作成していく方針で、市市民局広報課の高橋亜紀係長は「より外国人の住みやすい町を目指す。2020年東京五輪開催に向け、外国人を“おもてなし”する環境整備を進める」と話している。
同課によると、これまで市のホームページの一部を6言語(英語、中国語、ハングル、スペイン語、ポルトガル語など)で表示するなど外国人向けに対応。しかし国や地域が多すぎて全言語に対応しきれないこともあり、外部有識者の協力を得てマニュアル「やさしい日本語で伝える」「やさしい日本語例文集」を作った。
マニュアルでは、「日本語を機械的に平易な言葉に言い換えるのではなく、外国人に分かりやすく伝えることを意識して文章構造を大きく見直したり、必要な情報を追加することではじめて『やさしい日本語』と言える」と心構えを説明。
例文集では、印鑑登録の手続きを題材に「印鑑登録できない方 ヨコハマ市に住民登録がある方で成年被後見人でない、かつ15歳未満に該当する人」との文章を「登録できる人 ヨコハマ市に住民登録している15歳以上の人 ※成年被後見人の人は登録できません」と書き換え。「もとの文は行政で使う複雑な文章表現。二重否定は初級日本語学習者が学んでいない文法なので使わない方がいい」と解説している。
マニュアルは全職員に配布するとともに、職員研修で活用し今後の窓口対応などに役立てる方針。さらに14年度から16年度にかけて職員向けに行政用語の解説集も作る。また、行政文書そのものを分かりやすく書き換える取り組みについては「今後の課題」としている。
高橋係長は「やさしい日本語を使うことは、外国人だけでなく日本人にも開かれた情報発信となる。伝え方を考えることで、職員自身が自らの仕事を見直すきっかけにもなるのではないか」と話している。
【神奈川新聞】