健康診断で得られた個人の健康記録を自己管理しながら、さまざまな健康サービス情報を提供するシステム構築へ、横浜市と県予防医学協会、日立ソリューションズ、ファンケルヘルスサイエンスの4者は5日までに、産学連携による実証実験に着手した。京浜臨海部国際戦略総合特区で同市が進める個別化・予防医学実現の一環。市民が健康で長生きできるよう、誰もが簡単に利用できる健診結果を活用したサービスの事業モデルを構築する狙い。
実証実験では、日立ソリューションズがデータベース(DB)作成、実験支援などを、ファンケルヘルスサイエンスが健康サービス情報の提供を担う。特区のプロジェクトを対象にした市独自の助成制度を活用し、事業スキームの検討を進めてきた。
実験は日立ソリューションズの社員を中心に参加者を募り、2千人規模で実施。本人の同意に基づき同協会が保有する健康診断、人間ドックの結果を高いセキュリティーを前提にしたPHR(個人健康記録)基盤に蓄積し保管する。
利用者には健診結果とともにDB閲覧用アカウント(利用する権利)を発行。個人向けのポータルサイトを開設し、随時パソコンなどを通じて本人の健診情報にアクセスすることができる。健康サービス事業者にもつながる仕組みで、栄養補助食品や医療機関を検索し、個人の健康状態に応じた製品、サービスの選択の一助にする。
実験は来春まで続け、PHR基盤の構築と管理体制、健診機関との連携体制、健康サービスの提供モデルなどを検証する。市成長産業振興課は「実証実験を通して、利用者個人の健康データに基づき、健康寿命の延伸につながる効果的なサービスのあり方を検証していく」としている。
【神奈川新聞】