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オウム公判:菊池被告が17年の逃亡の理由 「真実が曲げられる」

社会 | 神奈川新聞 | 2014年6月3日(火) 03:00

「真実が曲げられる」。東京都庁小包爆弾事件で、殺人未遂ほう助などの罪に問われた元オウム真理教信者菊地直子被告(42)は2日、東京地裁で開かれた裁判員裁判の被告人質問で、約17年間に及んだ逃亡の理由を初めて明かした。社会が自分や教団に貼り付けたイメージと、自分が知る教団との埋めがたいギャップ。「信じてもらえない」悔しさからか、おえつを漏らす場面もあった。

地下鉄サリン事件を「完全に冤罪(えんざい)」と信じ、不当逮捕を恐れたことから、菊地被告の逃亡は始まった。

一緒に逃げた元幹部小池(旧姓林)泰男死刑囚(56)から、地下鉄サリン事件への関与を打ち明けられた後も、教団への信仰は続いた。2000年代に入り、「ハルマゲドン(最終戦争)が起こる」とする松本智津夫死刑囚(59)=教祖名麻原彰晃=の予言が外れたことや、逃亡中に仕事や日常生活に追われたことで、「だんだんと心が離れていった」。出頭を考えたこともあったが、自分より罪が重くなる元幹部を案じて思いとどまった。

逃亡生活の最中に目にした、街中に張られた自分やほかの教団関係者の指名手配ポスター。「もう(新しい)事件を起こすことはないのに」と社会の不安感とのギャップも感じていた。

12年6月に逮捕された際、相模原市緑区の自宅から教団の教義が書かれたノートやメモが見つかった。だが「処分を忘れただけ」で、現在は信仰心はないと強調。一方、教団による一連の事件について、「なぜ事件を起こしたのか、(松本死刑囚)本人の口から聞きたい」と、今も納得できていないことを明かした。

弁護側の質問には時折笑みも浮かべながら温和に答えた菊地被告だが、検察側の質問には一転、反発心をあらわにした。教義に対する質問に、一連の犯行と安易に結び付けられたと感じたのか、強い口調で否定。答えない場面もあった。

結局、無罪を主張する菊地被告が逃げ続けた理由は「何も知らないはずの信者も裁判で有罪にされ、真実が曲げられると思った」からだった。検察側にその真意を問われ、「自分の主張が信じてもらえない。今、(私が)直面していることそのままです」。思わず漏らしたおえつが、法廷に響いた。

【神奈川新聞】

 
 

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