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【照明灯】劇場型犯罪

社会 | 神奈川新聞 | 2014年5月21日(水) 08:37

馬の博物館(横浜市中区)で特別展「歌舞伎と馬」が開かれている。「一谷嫩(いちのたにふたば)軍(ぐん)記(き)」をはじめ、馬が登場する演目は多い。前後の脚の部分に入り、馬の胴体と乗り手を2人で担ぐだけに、なかなかの重労働である▼「塩原(しおばら)多(た)助(すけ)一代(いちだい)記(き)」では、多助と愛馬「青」の別れが名場面として知られている。観客の拍手を受けるのは主役だが、馬の脚にも演技力が要求される。若い頃に馬に入っていた市川笑也さんは努力の末、人気俳優になった▼「馬脚を現す」とは、馬の脚を演じる役者が芝居中にうっかり姿を現してしまう失敗から、悪事や本性が露見することを言う。まるでパソコン(PC)遠隔操作事件で無実を主張していた片山祐輔被告のようではないか。真犯人を名乗るメールを送ったスマートフォンを都内の河川敷に埋める行動を捜査員に目撃されていた▼ネット空間で偽の情報を振りまき、世の中の注目を浴びることで支配感や優越感に浸りたかったのだろうか。「誤認逮捕されたときには『やった』と思った」と弁護人に語ったという。被害者には許せない発言である。片山被告が真犯人なら、理解し難い動機の徹底究明が望まれる▼自分で演出した劇場型犯罪の舞台に、自ら幕を引く結果になったといえるかもしれない。

【神奈川新聞】

 
 

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