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集団的自衛権行使へ一歩、解釈変更「瀬戸際の法治国家」

社会 | 神奈川新聞 | 2014年5月16日(金) 03:00

安倍首相が集団的自衛権行使の限定容認を目指す方針を表明。憲法9条の「9」を掲げ、首相官邸前で抗議する人たち=15日夕
安倍首相が集団的自衛権行使の限定容認を目指す方針を表明。憲法9条の「9」を掲げ、首相官邸前で抗議する人たち=15日夕

憲法で禁じられてきた集団的自衛権の行使容認へ、安倍政権が一歩を踏み出した。自衛隊や在日米軍の基地を抱える県内からは安全保障の行方を案じる声に、国の在り方を変容させかねない政権の姿勢への懸念が重なった。

自衛隊の役割を大転換させる集団的自衛権の行使容認。議論の行く末に横須賀市在住の自衛官の妻は「心配はあるが、夫や自衛官のママたちの前で口に出すことはない」と複雑な胸中を明かす。

憲法解釈が変更されれば、他国の戦争に加わる道も開けてくる。「戦地に進んで行きたいという人はいない。今の段階で危ない目に遭うとは考えづらいが、実際に解釈が変わったら、切実な問題になっていくかもしれない」

護衛艦に乗っていた元海上自衛官も懸念を口にする。1991年の湾岸戦争で、停戦後、機雷掃海艇がペルシャ湾に派遣された際、「派遣を嫌がっていた隊員がいた」と明かし、「戦場に行くとなれば、『安定した安全な職業だと思って選んだのに』と、辞める人間が大量に出て大変なことになる」と不安を漏らした。

■胸騒ぎ

厚木基地を抱える大和市。「基地の街だけど、関心は必ずしも高くない」。市民グループ「時をみつめる会」の吉沢洋子さん(62)はそこにこそ胸騒ぎを覚える。

4月28日、小田急線大和駅前で道行く人に行使容認の賛否を聞くシール投票を行った。結果は、賛成34、反対81、分からない79。「分からないという回答が思いのほか多かった」。基地は米軍と自衛隊が共同使用し、爆音は日常の暮らしに降り注ぐ。「自衛隊が他国に出て行くようになれば、このまちが攻撃の的になる可能性が高まると思うのだが」

安倍首相はこの日の会見で「国民の命を断固として守り抜く」と強調した。

吉沢さんは「自衛」の2文字に惑わされる人も多いのではないか、とも考える。シール投票では若者が「僕は賛成。大事な人を守りたいから」と声を掛けてきた。「直接攻められた場合は個別的自衛権で対処できる。集団的自衛権は必要ないのよ」と説明すると「じゃあ、反対」と答えた。「若い人なら先を見据えて自分たちの問題と捉えることができるはず」と関心の広がりを期待する。

■駆け足

憲法は国が守るべきルールであり、国が勝手に変えることはできない-。座間市の主婦岸絵美さん(30)がそう知ったのは1カ月前のことだ。

友人に誘われ、弁護士が開いた学習会「憲法カフェ」に足を運んだ。以来、ママ友だちに話題を振るようになったが、反応はいまひとつ。「憲法解釈の変更といってもよく分からない人が大半。このままでは、子どもたちの将来にかかわることが知らないうちに決められてしまう」

憲法カフェを主宰する太田啓子弁護士(38)は「身近であるべき憲法より、北朝鮮のミサイルの脅威の方が身近に感じている人が多い」ともどかしさを口にする。

一内閣による憲法解釈の見直しは、憲法が国家権力の暴走を防ぐ立憲主義の否定にほかならない。「憲法は国を縛るルールであるということを知れば知るほど、解釈改憲に反対な人は増える。国は、国民的な議論が起こる前に物事を駆け足で進めようとしている」と批判し、続けた。「憲法の改正も解釈の変更も、国民が決めるもの。それを国家権力が決めようとしている。日本は今、法治国家でいられるかの瀬戸際にある」

【神奈川新聞】

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