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「隠蔽」市教委に不信
「苦しくても死を選ばないで」 横浜・原発避難いじめで両親

社会 | 神奈川新聞 | 2016年11月24日(木) 11:03

横浜市庁舎
横浜市庁舎

 東京電力福島第1原発事故で横浜市内に自主避難した男子生徒(13)がいじめを受けていた問題で、生徒の40代の両親が23日、同市中区で会見を開き、「子どもは教育を受ける権利を阻害された。最悪の事態も考えた」と心境を明かした。また、過去のずさんな対応に加え、いじめの内容を非公表とする市教育委員会側に対しては「われわれが動かない限り、何もしてくれなかった。隠蔽(いんぺい)による自己保身でしかない」と強い不信感をあらわにした。 

 両親らによると、一家は生徒が小学2年生だった2011年8月に転居。いじめは直後から始まったが、当時の学校側は熱心に生徒の面倒を見てくれた。母親は「校長も校門まで迎えに来てくれた。細かいやりとりができて学校全体で守ってくれていた」。

 だが4年生になると対応が一変。5年生だった14年6月、母親は財布から数万円がなくなっているのに気づき学校に連絡したが、学校側は5月上旬には、金品を受け取った子どもの保護者から情報を得ていたという。親戚に返済する予定で自宅に保管していた150万円も子どもたちの遊興費として使われていた。

 生徒は「お金を渡せば殴る蹴るのプロレスごっこがなくなった。身を守れた」と話したという。両親は学校に対して「初期段階で連絡してもらえれば被害は拡大しなかった」と憤る。

 父親は自ら調べて、いじめ防止対策推進法の「重大事態」に当たると考え、学校に相談した。だが、学校側からは「(生徒が)自らお金を持って行った。警察に相談してください」などと言われ、市教委に連絡しても「指導はするが介入できない」と繰り返された。

 市教委は重大事態と認定するまでの対応が遅れた原因に専門機関との連携不足を挙げ、専門職などの増員を検討している。しかし両親は「そうした連携以前の問題。先生たちに子どもに寄り添う気持ちを教育してほしい」と訴えた。

「この地で生きる」決意


 一家は震災で職を失った。「被ばくリスクを考えても、福島にいられるならいたかった」(母親)が、求人はほとんどなく、仕事が見つかった横浜で11年8月から生活を始めた。頼れる親戚もなかったが「横浜への避難者数が多く、支援団体も多かったので、ここなら暮らしていけるのではないか」と選んだという。

 生徒は「賠償金をもらっているだろう」などと遊興費をせがまれた。母親は「福島県民イコール賠償金というイメージがつくのは諦めているが、小学生で出てくる言葉ではないと思う。家庭でしっかりとした認識を持った上で話をしてほしい」と複雑な思いを吐露した。

 母親は、生徒は震災以降に性格が変わったと言う。「自分から訴えることを無意識にやめてしまったようだ」と影響を心配する。一方で「しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」との手記には「小さな心できちんと状況を受け止めていたんだ」と成長に驚いた。

 中学1年になる生徒は今、フリースクールに通う。手記を公表し、同じ境遇にある子たちに「苦しくても生きて。死を選ばないで」と伝えたいと話しているという。父親の目には「最近は自転車に乗ったり外に出たりできるようになった。光が見えてきた」と映る。自身も「お父さんが仕事を変えて頑張ってくれたから、僕もこっちで頑張る」との言葉に励まされてきた。「再生すると決めて家族全員で来た。この地で生きていく」と前を見据えた。

被害生徒の手記
 (代理人弁護士による抜粋)
「(加害児童生徒の)3人から…お金をもってこいと言われた。」
「○○○(加害児童生徒名)からは メールでも 言われた。」
「人目が きにならないとこで もってこいと 言われた。」
「お金 もってこいと言われたとき すごい いらいらと くやしさが あったけど ていこうすると またいじめがはじまるとおもって なにもできずに ただこわくてしょうがなかった」
「ばいしょう金あるだろ と言われ むかつくし、ていこうできなかったのも くやしい」
「○○○(加害児童生徒名) ○○(加害児童生徒名)には いつも けられたり、なぐられたり ランドセルふりま(わ)される、かいだんではおされたりして いつもどこでおわるか わかんなかったので こわかった。」
「ばいきんあつかいされて、 ほうしゃのうだとおもって いつもつらかった。 福島の人は いじめられるとおもった。 なにも ていこうできなかった。」
「いままで いろんな はなしを してきたけど (学校は)しんようしてくれなかった。」
「なんかいも せんせいに 言(お)うとすると むしされてた」

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