
小学校図書室の運営補助や児童への読み聞かせを行う「図書ボランティア」。川崎市幸区の市立御幸小(鈴木和裕校長、児童755人)で、担い手として活動する保護者や地域住民らのグループが文部科学大臣表彰を受けた。活動開始から10年、読み聞かせを授業にリンクさせたり、児童の目線で図書を分類したりと、きめ細かな取り組みが実を結んだ。
教室の床に膝を抱えて座り耳を澄ませる子どもたちに、笑顔で優しく語り掛ける。朝8時半から10分間、月3回ほど行う読み聞かせの時間。ボランティアの中にはスーツ姿で出勤前の男性も。「最初は落ち着きのなかった子も、6年間の積み重ねで静かに聞けるように変わるんです」と、2人の子どもが同校の卒業生という遠藤珠世さんは話す。
朗読する本の選び方にもこだわりがある。担任教諭との打ち合わせを欠かさず、国語で「スイミー」を勉強する前には著者のレオ・レオニの作品を読んであげる。手話や点字の総合学習に合わせ、関連書籍で知識を深めてもらう。
約1万3千冊の蔵書が並ぶ図書室にも、保護者らの思い入れが詰まる。毎年、田植え体験をする5年生に向けて「米」に関連するコーナーを設けたり、「食と健康」「地震・防災」など独自の分類で子どもの目を引くよう工夫を凝らす。
2005年1月に活動を開始し、3年後に読み聞かせをスタート。現在23人いるメンバーの多くは、仕事と掛け持ちしながら貢献している。地道な取り組みはことし4月、文科省の「子どもの読書活動優秀実践団体」として評価された。「子どもが大好きな人たちの集まり。長く続けられたのは、地域のボランティアの方たちのおかげ」と遠藤さん。表彰を今後の励みにするつもりだ。
【神奈川新聞】