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川崎・街路樹の枝枯れ落下事故 専門家「木の『SOS』見逃さないで」

社会 | 神奈川新聞 | 2014年5月6日(火) 10:00

幹を触って街路樹の状態を点検する道路公園センターの職員=川崎市川崎区
幹を触って街路樹の状態を点検する道路公園センターの職員=川崎市川崎区

川崎市宮前区の商業施設敷地内で4月14日、街路樹のケヤキの枝が落ち、下を歩いていた女児が重傷を負った。自然の癒やしや潤いのある景観を求めて植えられた街路樹が、凶器と化した事故。落下した枝は複数箇所がひび割れ、折れ口は枯れていたが、ケアは行き届いていなかった。事故を防ぎ、都市部でみどりと共存するには何が必要か-。専門家は「木々が発するサインを見逃さないで」と訴える。

車や人が途切れることなく行き交う同市川崎区内の幹線道路。4月中旬、区道路公園センターの職員2人が、イチョウやコブシといった街路樹を見て回った。

「この木は少し元気がないね」

今回の事故を受け、市が各区の道路公園センターに指示した街路樹の緊急点検。全体の葉が落ちたり、一部の枝だけ芽吹いていなかったり、幹の内部がスカスカだったり…。観察すると、素人目にも健康な木との違いが分かる。職員は観察ポイントに沿って木々の状態を注意深く確認し、枝の剪定など対策が必要な木に目印をつけていった。

1時間で400本以上を点検した担当者は「高い枝は造園業者に処理してもらい、判断が難しい木は樹木医に精密診断をお願いする」と話す。市は近く各区の点検結果を集計し、発表する予定だ。

ただ、行政による点検は公道の街路樹や公共施設に植えられた木々に限られる。今回の事故のように私有地の樹木には目が行き届かず、枝の落下や倒木といった事故を防ぐには、「樹木の危険度」に対する管理者側の意識を高めることが不可欠だ。

市緑政部は「街路樹を見回る際に住宅の樹木などを見て、危なければ声をかけることぐらいはできるかもしれないが、全てはカバーできない」と明かす。今後、点検のポイントなどを市民や事業者に啓発していくとしている。

日本樹木医会の和田博幸・広報部会長によると、車両の接触や道路工事で枝や根が傷ついたり、台風や雪で過剰な負荷がかかったりすることが、枝枯れが進む一因という。

樹木の状態を見分ける最も簡単なポイントは「葉が出ていない枝があるかどうか」で、ビル管理会社など民間企業でも管理は難しくない。ただ、「問題は点検の頻度。今回事故が起きたのは背が高くなるケヤキで、枝の落下は想定できる。定期的な点検が必要だ」と指摘する。

そして、最も重要な視点として強調するのが、本質的な問題である「みどりとの付き合い方」だ。

「本来なら山にあるものを私たちは街中に植えている。それを当然と思って樹木に関心を払わないと、枯れているのに気付かない。木にストレスをかけていることを認識し、みどりと共存する方法を模索していかないといけない」

【神奈川新聞】

 
 

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