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増税1カ月 低所得者を直撃、生活保護費引き下げに支出増

社会 | 神奈川新聞 | 2014年5月1日(木) 11:04

残り2万円となった生活保護費の入った封筒を手にする受給者の男性
残り2万円となった生活保護費の入った封筒を手にする受給者の男性

消費税率が8%に引き上げられて1日でちょうど1カ月、生活困窮者の暮らしは逼迫(ひっぱく)の度を深めている。生活保護費の支給基準額が昨年8月から段階的に引き下げられている上に支出がかさむという二重苦。低所得者ほど負担の比重が大きくなる消費税の「逆進性」がのしかかる。

午後7時。県央地区に住む男性(70)は決まってこの時間に近所のスーパーへ向かう。500円の弁当がタイムセールで値引きされるからだ。

「以前は半額だったのが、増税後は290円になった。ちょっと高い」

低所得者対策として、食品など生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の導入が見送られたことが今更ながら、うらめしい。

生活保護費の引き下げに追い打ちをかけられた格好だ。4月に受け取った12万円弱は3月から約5千円少ない。6畳一間のアパートの家賃は約5万円で、生活費として残るのは約7万円だ。光熱費や交通費、プリペイド式の携帯電話代に急な出費も考え、1日の食費は500円ほどに切り詰める。「そのうちの夕食代の40円の差は小さくない」

10年ほど前、経営していた水道工事の会社が倒産し、困窮の日々が始まった。持病の腰痛が悪化し、働けなくなった。

生活保護を受けるようになって4年。進む老いが先行きの不安に拍車を掛ける。「朝、腰が痛すぎて立ち上がれないことがある。病院での診察と処方薬は無料だが、薬局で買う痛み止めの薬はどうしたってお金がかかる」。病院へ行くのに乗るバスも往復で40円上がった。

電気・ガス代も5月から増税分が上乗せされる。生活保護費引き下げはデフレが理由だったのに、物価はじわじわ上がり続ける。企業の業績回復と賃上げを後押ししたアベノミクスの恩恵からも蚊帳の外に置かれている。

「一体この先、どうなるのか」

次の支給日まであと10日。節くれ立った指で握りしめた封筒に残るのは1万円札2枚。「いずれにしても、食べなきゃ生きていけない」

◆「逆進性で負担重く」専門家

「低所得者ほど負担が重くなるという逆進性が貧困層の生活を直撃している」。司法書士の阿部健太郎さん(35)は現状をそう説明する。「非常に不公平な課税。それは最初から分かっていたことでもある」

阿部さんが会長を務める神奈川青年司法書士協議会が4月27日に開催した「生活保護緊急110番」では、午前10時から6時間で50件の相談が寄せられた。

「手持ちの現金が減ってきた。生活保護が受けられるか心配」「お風呂に毎日入れない」「子どもの卒業アルバム代や修学旅行費が払えない」

阿部さんは「ぎりぎりの生活をしている人にとって3%の増税は重みが違う。高齢化も進み、生活が苦しい人は増えている」と早急な低所得者対策を訴える。政府は今夏にも住民税の非課税世帯に1人1万円の現金を支給する見込みだが、1回限りで、軽減税率の導入の議論も進んでいない。

生活保護を受けている県内の女性(40)が切実な胸の内を明かす。「削れるのはもう食費だけ。でも3食を2食や1食にすれば体がおかしくなる。周りにこれ以上迷惑は掛けられない」

受給者からはいま、冷房が必要になる夏が近づくことへの不安が漏れ聞こえてくる。

【神奈川新聞】

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