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【社説】食の安全と安心は違う

社会 | 神奈川新聞 | 2014年4月29日(火) 09:47

雪印メグミルクの海老名工場で製造された学校給食用の牛乳を飲んだ神奈川、東京の生徒・児童から「味が違う」という訴えが相次いだ。その数は川崎、相模原、厚木の3市だけでも約1700人を超え、腹痛や下痢など体調を崩して受診した生徒・児童もいた。

同社製の牛乳を使用している県内の9市町村は提供を中止、代替品を検討するなど対応に追われている。県の立ち入り調査では工場内の衛生管理に問題は確認されず、同社の調査で健康被害を引き起こす細菌類や残留農薬は検出されなかった。

風味の異常について、同社は「青草臭が一部で感じられ、特定ルートから搬入された原料乳に起因する可能性が高い」との見解を社のホームページ(HP)に掲載した。

事態は収束に向かいつつあるようだが、同社の対応には疑問を持たざるを得ない。各教育委員会は異味、異臭の訴えを確認した当日夕から発表したのに対し、同社が事実経過や調査状況を広報したのは、発生から2日後のHP上が最初だった。工場側は取材に応じず、同社から教委への謝罪や説明は遅れた。保護者から苦情が寄せられている自治体も出ているという。

食品に対する安全と安心は違う。これだけの規模の訴えがあった以上、即座に使用を再開する訳にはいかないだろう。未解明な点もまだあり、再発防止策を確認するなど、慎重な対応を求めたい。

同社の前身、雪印乳業が2000年6月に起こした食中毒事件、雪印食品による02年1月の牛肉偽装事件を思い出したい。届け出から公表まで対応に手間取って食中毒の被害は拡大した。両事件によって大手ブランドの信用は失墜し、苦い教訓を得たはずだ。

「企業の社会的責任(CSR)」の重要性が言われて久しい。雪印メグミルクも地域貢献や環境対策などの取り組みを掲げている。ただ、今回の様に社会から問われた内容に迅速に十分な説明責任を果たせないようでは、形骸化していると受け取られても仕方ないだろう。

食品をめぐる企業の不祥事は後を絶たない。食に対する消費者の関心は極めて高く、不信感が募れば、関連商品まで購入を控えるケースが過去に散見された。不要な食品投棄を引き起こさないための冷静な対応も必要である。

【神奈川新聞】

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