川崎大師平間寺(川崎市川崎区)の境内で行われ、初夏の風物詩として定着していた「川崎大師薪能」(同実行委員会主催)が6月6日、3年ぶりに開催される。同寺内施設の改修で休止していたが、工事完了に伴い復活。薪能でシテ(主人公)を演じる観世芳伸さん(53)は「火に照らされた幻想的な能の世界を楽しんでほしい。敷居は高くない。気軽に見にきてほしい」と話している。
薪能は、一般的な能の舞台とは異なり、主に夏場の野外に設けられた能舞台の周りでかがり火がたかれ、その中で能が演じられる。
川崎大師薪能は1974年に始まり、今回で39回目。2011年まで毎年、観世宗家一門による能が披露されてきたが、工事で休止。再開に当たり、これまで主催してきた同市能楽謡曲連合会から、同市観光協会や地元商店街などを含めた実行委形式に衣替えして開催することになった。
新たな試みとして、チケット購入者向けに事前の能特別講座(5月16日開催、先着148人で500円)を開く。出演者による演目解説や能面、衣装の実物に触れるなど能をより楽しむための内容となる。
6月6日当日は午後5時半開演で、演目は能「紅葉狩」と狂言「清水」のほか、仕舞や舞(まい)囃子(ばやし)などが演じられる。20代のころから川崎大師薪能に関わってきた観世芳伸さんは、「舞台人の経験を積ませてもらった思い入れのある薪能」とし、「ビールを片手に見ていただいても結構。薪の火に映える衣装の美しさなどを楽しんでほしい」。実行委員長の斎藤文夫市観光協会会長は「日本の誇る伝統芸術をぜひ市民に鑑賞してもらいたい」と観覧を呼び掛けている。
チケットは4月25日から販売開始で、S席(250席)6千円、A席(500席)4千円。川崎大師や川崎能楽堂、チケットぴあなどで販売する。問い合わせは同実行委電話044(222)8821。
【神奈川新聞】