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【社説】ベビーシッター事件 公的保育の偏り是正を

社会 | 神奈川新聞 | 2014年4月13日(日) 10:32

「助けられなくて、ごめんね」。母親の言葉が、胸に刺さる。横浜市磯子区の男児(2)が、埼玉県富士見市のベビーシッター先で死亡した。死に至った詳細な経緯は県警の捜査を待たなければならないが、今回の事件で浮き彫りになったのは、公的保育の貧しさだ。

男児の母親はインターネットのベビーシッター仲介サイトを利用し、男児と弟をシッターの男に預けた。引き取る日になっても男と連絡が取れず、事件が発覚した。

母親と男のやりとりは、メールだけだった。「自分なら、ネット上のやりとりだけで子どもを預けるようなことはしない」。子育て中の母親から、そんな声も聞こえてくる。

だが、夜間に飲食店で働く男児の母親は「お金も預けるあてもなかった」と、リスクを知りながらもネットに頼らざるを得なかった実情を明かしている。親側の軽率さを批判し「自己責任」論に終始しても、根本的な解決にはならない。

問題は公的保育サービスに偏りがあることだろう。現代社会の生活は多様化している。24時間営業の店舗や夜間早朝も稼働する企業もあり、働き方もさまざま。それにもかかわらず、公的保育の大半は昼間しか対応していない。

今回使われたとされる仲介サイトの利用希望者の登録は約1万人に上っている。繁華街には24時間対応の認可外保育施設が林立している。今の公的保育では賄いきれない需要がある現実を物語っている。

保育所の待機児童が一時全国最多だった横浜市は昨年、待機児童ゼロを実現した。政府は「横浜方式」と絶賛、他自治体も参考にするよう呼び掛けた。だが、その“実績”は、男児の母親のように公的保育に頼れない存在を「ないもの」として達成されたにすぎない。

国と自治体は、多様化した働き方に合わせ、誰もが安心して子どもを任せられる体制を構築する必要がある。個人により受けられるサービスに差異があってはならない。

保育所と同様、子どもの命を預かっているベビーシッターに公的資格が必要なく、監督官庁もないという実態も大きな問題だ。国は事件後、シッター業の届け出制を含めた検討を始めた。本来なら当たり前のことが見過ごされてきた。国は「子どもの命を守る」という視点を第一に、早急に対応策を講じてほしい。

【神奈川新聞】

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