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【社説】西湘海岸保全直轄化 砂浜再生の先導事例に

社会 | 神奈川新聞 | 2014年4月11日(金) 10:00

国土交通省が2014年度から、浸食被害の深刻化している西湘海岸(大磯、二宮町、小田原市)で、砂浜を復元する保全対策に乗り出すことが決まった。

県と地元市町が熱心に続けてきた要望活動が実った形だ。国の直轄化により多額の費用と高度な施工技術が導入されるだけに、実効性の高い対策となるよう期待したい。

西湘海岸は酒匂川河口(小田原市)から大磯港(大磯町)まで広がる約13キロの海岸である。酒匂川から流れ出た砂が南からの波に運ばれ、砂浜を形づくってきた。しかし、ダム建設や過去の砂利採取で砂の供給が減り、砂幅は細った。

県も酒匂川の土砂の流れを回復する試みや海岸に砂を加える「養浜」などに取り組んできたが、抜本的な解決には至らなかった。沿岸近くまで急峻(きゅうしゅん)な海底谷が迫っている地形のために高い波が減衰せずに到達する結果、砂浜が削られやすいことも対策を難しくしていた。

とりわけ、2007年9月の台風9号による甚大な被害は記憶に新しい。高い波で約50万立方メートルの砂が流出し、海岸沿いの西湘バイパスの擁壁が崩落して通行止めになった。地域の暮らしの安全・安心を確保するためにも、一日も早い抜本的な保全が欠かせない。

同省によると、新規事業の事業区間は大磯港から酒匂川までの海岸約13キロ。18年間に約181億円を投じる。全国初の工法も取り入れる。具体的には

(1)高い波の時に前浜の土砂の移動を抑制する岩盤型施設6基を波打ち際に埋め込む

(2)沿岸近くの海底谷に人工の棚(長さ約1キロ)を設ける

(3)約36万立方メートルの砂で養浜を行う

-が柱となる。

対策により、最低でも奥行き約30メートルの幅と適度な勾配を持つ砂浜を回復し、大型台風時の波浪にも砂浜を維持できることを目標にするという。国は海洋環境への影響が少ない工法を採用したとするが、くれぐれも実際の工事の際には慎重に影響を見極め、漁業者にも丁寧な説明しながら進めてほしい。

同省が海岸浸食の進む国内12海岸で行っている保全事業のうち、関東沿岸では初の直轄事業のケースになる。知名度の高い湘南での取り組みは全国的にも注目されよう。各地で同様に課題となっている砂浜再生の先導的な事業モデルとなることを期待したい。

【神奈川新聞】

 
 

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