横浜市とNTTドコモは、日本最大規模となる自転車400台で、レンタルサイクル事業「ベイバイク」を4月から本格的にスタートした。
低炭素社会の実現に向け、都心部の移動手段に自転車を積極的に使いたい。併せて自転車専用通行帯の整備も加速させる必要があるだろう。環境未来都市・横浜の日常の風景にベイバイクが定着することが期待されよう。
ベイバイクは社会実験として2011年度に市都心エリア(横浜駅地区、みなとみらい21地区、関内地区など)で始まった。
手ごろな料金で自由に乗り降りでき、健康にもいいことから、会員登録者数は実験開始から2年半で15倍の約1万7千人に。利用者アンケートも「街で楽しむ時間が増えた」「観光、買い物目的での滞在時間が増えた」と好評だった。
4月からの本格事業開始後は、2014年度中に電動アシスト機能付き自転車に通信システムを搭載したタイプを導入し、今後5年間で千台規模を目指すという。
貸し出し・返却拠点のサイクルポートも34カ所から80カ所に増やし、実施地域も横浜都心部から関外地区や山手地区などに拡大していく。
横浜は坂も多い。電動アシスト付き自転車なら、幅広い年齢層に利用してもらえるだろう。
衛星利用測位システム(GPS)などを搭載することで盗難や放置の防止が図れる。加えて、専用の駐輪場システムが不要となり、コスト面でも約4割の削減効果が期待できるという。
横浜市内ではみなとみらい21地区や鶴見区などで自転車専用通行帯の整備が進められている。しかし、整備の不足感は否めない。
道路交通法で自転車は乗用車と同じ「車両」に定められ、車道の左側を走るのが原則だ。
自転車にとって、歩道は事故の危険性も高い。歩道走行の自転車は車道走行に比べ、車から認知されにくくなり、米連邦交通省の調査によると、歩道走行の事故率は車道走行の6・7倍になる。
ロンドンは五輪に合わせ、「自転車の街」に生まれ変わった。
官民一体となった横浜のベイバイクの取り組みを道路整備という観点からも捉え、自転車が車道を安全で快適に走行できる環境を整えてもらいたい。
【神奈川新聞】