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【社説】大規模地震対策 地道に備え積み上げよ

社会 | 神奈川新聞 | 2014年4月4日(金) 11:48

南海トラフ巨大地震と首都直下地震という神奈川に大きな被害をもたらす二つの大規模地震について、対策の方向性が国から示された。

盛り込まれたのは、住まいや学校の耐震化、建築物の不燃化と初期消火対策の徹底、津波避難ビルの指定や避難路整備などで、目新しいものはない。むしろこれまで必要性が強調されながら、十分には実行されてこなかった課題ばかりである。

被害を軽減する万能の策はないが、特別に難しいことをするわけでもない。一人一人の地道な備えの積み上げが、全体としての被害を減らすという減災の基本をあらためて確認しておきたい。

その一例として、室内の安全を確保するために役立つ家具の固定がある。平均数百万円が必要とされる木造住宅の耐震工事と比べ、はるかに安価で取り組みやすいが、実施率は40%(2013年度)と必ずしも徹底されていない。

今回の南海トラフ地震対策の基本計画では、家具固定の必要性をパンフレットなどでPRし、65%に引き上げる目標が打ち出された。10年間での達成可能性を考慮した数字だろうが、100%にはなお程遠い。もう一段高い目標を掲げて財政的な支援策を組み合わせ、普及を後押しする工夫が必要だったのではないだろうか。

内閣府が2月に公表した防災に関する世論調査では、家具の固定を実施しない理由の最多は「やろうとしているが先延ばしにしている」だった。裏を返せば、きっかけさえあれば急速に広がる可能性は高い。防災関連の予算は「国土強靱(きょうじん)化」の名の下に膨らんでいるが、こうした着実な効果が期待できる施策にこそ振り向けるべきだ。

かねて東海地震や県西部地震などのリスクが指摘されてきた神奈川は備えが比較的進んでおり、県内の公立学校の耐震化率や津波避難ビルの指定数などは全国でもトップクラスである。ただ、実際に激しい揺れや津波に襲われたのは1923年の関東大震災にさかのぼり、地震の恐ろしさを肌で知る人は少ない。

南海トラフも、首都直下も、「いつ起きてもおかしくない地震」だと専門家はみている。地震の規模や起きる場所は異なるが、そのときに向けて必要な備えは同じだ。想像力を高めながら、一つ一つ積み上げていくしかない。

【神奈川新聞】

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