三浦市沖の浦賀水道で3月に外国貨物船2隻が衝突した事故で、沈没した貨物船から流出した重油が、東京湾に加え相模湾にも広がっていることが3日、水産庁のまとめで明らかになった。県内の計5漁協で操業中止などの影響が生じており、同庁は損害の評価を急ぐとともに漁業補償制度を活用して緊急対応する方針を示している。
同庁によると、県内では4月1日現在、鎌倉漁協(鎌倉市)、大楠漁協(横須賀市)、長井漁協(同)、初声漁協(三浦市)、みうら漁協(同)の松輪地区と金田地区で、ヒジキや定置網などの操業が中止に追い込まれた。
油の漂流は三浦、横須賀(相模湾側のみ)、鎌倉、逗子、茅ケ崎市の一部沿岸で確認されている。
対岸の千葉県側でも富津市の漁協で潮干狩り場の休業や定置網、ノリ養殖の操業中止を迫られ、館山市の漁協もヒジキ狩りを自粛したという。
船舶事故による漁業被害は、船主への賠償請求で解決するのが基本。ただ交渉が長期化した場合には、漁業共済組合が船主への求償権を得た上で、被害者に共済金を支払うことができる。水産庁は災害や事故の影響を受けた漁業者からの資金需要に対応する制度融資(農林漁業セーフティネット資金)の活用も促す考えだ。
事故は3月18日早朝に発生。韓国船籍とパナマ船籍の貨物船2隻が三浦半島沖で衝突し、パナマ船籍の貨物船が沈没。14人救助されたが3人が死亡、6人が行方不明となっている。
沈没した貨物船は約400トンの重油を積載していた。海上保安庁などが船主や地元漁協と協力して油の調査や防除を続けている。
【神奈川新聞】