国家戦略特区に絡み、黒岩祐治知事は2日の定例会見で、川崎臨海部の殿町地区を軸に構想している国際的医療人材養成機関の設置について、大卒者を対象とする医学教育機関・メディカルスクールを「有力な一つの案」として検討する考えを示した。六年制の医学部検討も選択肢に残しながら、早急に養成機関の形を絞り込む方針だ。
県は京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区推進のため、必要とされる人材養成機関を検討してきた。3月28日に安倍政権肝いりの国家戦略特区の指定も受け、さらなる規制緩和も期待して具体化を急ぐ考え。
黒岩知事は会見で、内外識者による同29日のシンポジウムの議論も踏まえて「シンガポールのように、例えば米国の大学と日本の大学が合体したようなメディカルスクール。教育は英語で行う。特区指定で『次元の違ったものを』との政府の意見があったが、これこそ次元が違う。六年制の医学部も引き続き検討するが、有力な案と感じている」と述べた。
既存の医学部のように卒業生が医師国家試験の受験資格を得るには医師法と学校教育法の改正が欠かせないが、知事は「国家戦略特区は特区の中の特区。『岩盤規制』を突破するドリルの役割を果たすわけだから、我々は挑戦的な企画を国に提案したい」とも語った。
県庁内の特別チームで具体案の検討を急ぐといい、5月から担当相や首長らが特区の具体策を検討する「特区会議」での提案も目指すという。
国家戦略特区をめぐっては、神奈川と同じ「東京圏」に指定された千葉県成田市が「国際医学部」の設置を目指している。
◆メディカルスクール 米国などで採用されている医学教育機関。四年制大学卒業者を対象とし、臨床能力に優れ、多様な人材が医療を担うメリットなどがあるとされる。
【神奈川新聞】