証言や手記 デジタル化模索
大戦末期、苛烈を極めた米軍による空襲の実態を調べる全国の市民団体や研究者らでつくる「空襲・戦災を記録する会全国連絡会議」は、今年の全国大会を初めてオンラインで開催する。戦後75年が過ぎ空襲体験者が減少の一途をたどる中、半世紀にわたり蓄積してきた証言や資料をデジタル化して共有する。オンライン開催を好機と捉え、若い世代にも参加を促進。世代間の連携を強化し、戦争の実態と不戦の誓いを後世に継承する考えだ。
全国大会は毎年、空襲被害を受けた各地の持ち回りで開催してきた。50周年を迎えた今年の記念大会は東京女子大(東京都)で開催予定だったが、新型コロナウイルス感染予防のため来年に延期。代替として動画投稿サイト「ユーチューブ」やビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用し、28~30日にオンライン大会として開催することを決めた。
29日のシンポジウム「21世紀の空襲の記憶・表現」は、「ユーチューブ」でライブ配信する。全国で集積された体験者の膨大な証言や手記、体験記などを「デジタルアーカイブ」にすることを視野に入れ、各個人の記録を社会の経験として共有する方策を模索。戦争を知らない世代にも理解できるよう、伝える工夫についても検討する。