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【社説】武器輸出拡大提言、過度の商業重視は禁物

社会 | 神奈川新聞 | 2014年2月20日(木) 00:00

事実上の禁輸政策だった武器輸出三原則を大幅に緩和すべきだとする提言を、経団連の防衛生産委員会がまとめた。関連産業の弱体化を憂う議論は理解できるが、ビジネス優先の論理ばかりが先行すると、戦後築き上げてきた平和国家の看板に傷がつきかねない。

提言では、他国との防衛装備品の共同開発に限らず、国産品輸出を広く容認すること、大規模な国際共同開発は国が主導すること、日本の技術貢献度が小さい場合は輸出相手国に第三国移転の管理を委ねることなどを求めた。その上で、政府内に専門部局を置くことを訴えている。

三原則は民主党政権時代の2011年に大幅緩和され、米国以外の国とも共同開発が可能になった。しかし、国産のセンサーや半導体などの輸出が許されていないことなどから、「緩和ではなく規制の強化」と指摘している点も特徴的だ。

安倍政権は三原則見直しに前向きだ。昨年12月に決定した国家安全保障戦略にそうした方針を明記し、新たな指針の3月中の閣議決定を目指して調整を急いでいる。今回、経団連の委員会が提言を示した先は自民党の国防部会関連会合。政権と歩調を合わせる形で、官民の輸出積極策を推進する姿勢を鮮明にした。

日本ではこれまで民間の技術を防衛に転用してきた。しかし、03年以降、採算割れなどを理由に防衛産業からの撤退や生産辞退などを表明した国内企業は100社以上に及ぶという。欧米のような防衛専業メーカーが存在しない日本で、政府主導の研究開発を要望する声は根強い。

1970年代に政策として定着した三原則は、共産主義圏、紛争当事国などへの輸出を禁止し、その他の地域へは「慎む」としてきた。直接規定する法律はなく、運用で実績を重ねてきた曖昧さはあるものの、日本の平和主義を象徴する存在の一つとして位置付けられてきた。

安倍首相は、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更を目指すが、国民的な合意が得られているとは言い難い状況だ。それと同じ文脈で、なし崩し的に三原則の大幅見直しに踏み込むのは、国内外に理解を得られるのだろうか。

閉塞(へいそく)状況を打破したい産業側が、政権の前のめり感に便乗しているようにも映る。しかし、過去の政権が連綿と踏襲してきた国是を軽んじることは許されない。

【神奈川新聞】

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