4人が誤認逮捕されたパソコン(PC)遠隔操作事件で、威力業務妨害などの罪に問われた元IT関連会社社員片山祐輔被告(31)の初公判が12日、東京地裁(大野勝則裁判長)で開かれた。片山被告は「徹頭徹尾、事実無根です」と起訴内容を全面的に否認し、無罪を主張した。
◆「反省ない」検察を批判
逮捕から1年と2日。法廷を埋めた傍聴者や報道関係者が注目する中、片山祐輔被告は冒頭陳述で用意したメモをよどみなく読み上げ、無実を訴えた。
検察側が主張した状況証拠について、「(山頂の土の中から遠隔操作ウイルスの情報が入った記憶媒体が見つかった)雲取山には登ったが、頂上にはほかにも人がおり、埋めるのは不可能」などと否定。横浜市立小学校への襲撃予告の送信方法も「報道があるまで知らなかった」と述べた。
また、インターネット掲示板での脅迫事件で過去に実刑判決を受けたことを明かし、「同様の前科がある私が犯人に仕立て上げられた」と説明。逮捕後、録画・録音を求めたことで取り調べが行われなくなったが、任意の聴取ならば応じたとし、「私が捜査に協力することで真犯人にたどり着いたかもしれない。4人も誤認逮捕した警察、検察は何も反省していない」と、自身の逮捕に踏み切った捜査機関の姿勢を批判した。
1年にわたって勾留が続いていることにも触れ、「疲れが限界。保釈申請を認めて」と訴えた。
弁護側も冒頭陳述で「立証が脆弱」と検察側を批判し、中でも横浜市立小学校の襲撃予告事件の証拠の少なさを指摘。「真犯人が(被告の)パソコンを監視して行った、一連の事件を象徴する事件」と、片山被告自身も誤認逮捕の被害者だと強調した。
この日、片山被告は白のシャツにグレーのスーツ姿で出廷。検察側の冒頭陳述に眉をひそめて資料を見つめたり、落ち着かない様子で傍聴席を見渡したりする場面もあった。
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