
差別の禁止と根絶を掲げ、ヘイトスピーチに刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」に対する攻撃が後を絶たない。匿名で電話をかけて担当の市職員を長時間ののしり、業務を妨げる「電凸(でんとつ)」が常態化。背後には条例の無効化をもくろむ差別主義者らの存在がある。
市人権・男女共同参画室の職員が徒労感をにじませる。「条文を読んだか尋ねると『読んでねえよ』と言われ、解釈指針や分かりやすく説明したリーフレットを紹介しても『知らねえ』『そんなの見られねえ』と。はなからエキサイトして、全く話を聞き入れてもらえない」
問い合わせでも意見の表明でもない罵倒一辺倒の電話が押し寄せるようになったのは、条例の素案が発表された昨年6月。意見の公募や市議会審議など節目のたびに回線はふさがり、1件2時間以上に及んだことも。無断で録音された会話がインターネット上で公開され、「住所を教えろ」と脅された職員もいた。