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認知症克服へ、京浜特区で最先端技術の開発加速/川崎

社会 | 神奈川新聞 | 2014年1月5日(日) 23:30

高齢化に伴いアルツハイマー病などの認知症が急増する中、京浜臨海部の総合特区(川崎・殿町地区)を拠点に人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術やナノテクノロジー(超微細加工技術)という最先端技術を駆使した革新的診断・治療法の開発が加速している。患者由来の神経細胞を世界で初めて作製した慶応大の研究グループは個体、遺伝子レベルでの病態解明を進め、発症を未然に防ぐ診断法の開発を推進。東大のグループは血液と脳の間にバリアー状に存在する「血液脳関門」を突破する薬剤送達システムを世界で初めて開発した。いずれも2014年中に、実用化への道筋をつけることを目指している。

アルツハイマー病など認知症をめぐっては、マウスを使った実験などで、ベータアミロイドという毒性の高いタンパク質が過剰に産出されている可能性が高いことが知られていた。しかし、患者自身の神経細胞で証明するのは困難なことから、根治薬は開発されていない。

慶大医学部の岡野栄之教授の研究グループは、患者の皮膚を採取し作製したiPS細胞から神経細胞を作りだし、ベータアミロイドが通常の約2倍産出されていることを確認。人の細胞で仮説を裏付けた。

この研究成果を踏まえ、個体レベルで病態解明を行うため、総合特区に立地する実験動物中央研究所(実中研)と共同で開発した霊長類の実験動物にアルツハイマー病モデルを再現することに初めて成功。マウスなどのげっ歯類の脳は人と機能や構造が大きく異なり寿命も短かったことから、この成功によって長い過程を経て発症する病態の解明が一気に加速する可能性が出ている。

岡野教授は「ことしはiPS細胞をはじめ、遺伝子、個体レベルの研究、患者の脳の画像化と組み合わせ、5年以内に早期診断法の開発の基礎を築き、新薬開発につなげていきたい」としている。

一方、東大大学院工学系研究科の片岡一則教授らの研究グループはことし、アルツハイマー病を対象にした治療薬の送達システムの有効性、安全性を評価する前臨床試験を実施する。

脳神経細胞は一度損傷すると機能回復が困難な上、分子レベルの物質を通さない血液脳関門(BBB=ブラッド・ブレイン・バリアー)によって薬剤を患部に到達させることは極めて難しい。このため、研究グループは、神経細胞に取り込まれる性質を持つ特定の分子を取り入れたナノサイズ(ナノは100万分の1ミリ)のカプセルを作製した。

すでに、悪性脳腫瘍を移植したマウスによる実験で、カプセルが血液脳関門を通り抜け薬剤を放出、悪性脳腫瘍の増殖を抑える効果が確認されている。

アルツハイマー病に対しては、遺伝子情報を担い神経細胞の再生を促進する物質(メッセンジャーRNA)をカプセルに内包。脳内で放たれ合成機能を発揮し、損傷した神経細胞を再生したり、ベータアミロイドを抑制したりする手法を検討。ただ、この物質は生体内で急速に分解されてしまうため、安定性を保持させる高精度な技術が必要となる。研究グループは年内にも長期間安定性を保つ送達システムを開発し、4年以内に前臨床試験を終え、臨床応用につなげたい考えだ。

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