逗子市池子で2月、民有地の斜面が崩れ、約70トンの土砂に巻き込まれ女子高生が死亡した事故は、身近な斜面の安全対策がなおざりにされている現状を浮き彫りにした。民有地の安全対策は所有者が行うのが原則だが、そこには壁が多い。

工事費用は数百万~数千万円に上るケースもある。負担が大きく尻込みする所有者は少なくない。費用面などで対策が難しい場合、一定の基準を満たせば急傾斜地法に基づき県が工事を行う「急傾斜地崩壊危険区域」の指定を受ける方法もある。しかし、開発制限などにためらい所有者が合意できなかったり、そもそも所有者が不明だったりするケースもあるという。
危険な斜面を把握し、所有者らに対策を促す自治体も壁を実感する。