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「茅ケ崎9の日スタンディング」が活動10年、街に立ち平和発信/神奈川

社会 | 神奈川新聞 | 2013年12月29日(日) 23:45

9の付く日に茅ケ崎駅前に立ち、平和への思いを個人として表現する運動「茅ケ崎9の日スタンディング」が29日、開始から10年を迎えた。1人の市民の行動をきっかけに、これまで延べ4600人以上が参加、全国にも広がった。「安心して暮らせる日常の基本が、憲法9条。普段の生活の中で、考える機会を増やしていきたい」。呼び掛け人の岡本棟守(むねもり)さん(71)は平和への希望を胸に、これからも同じ場所に立つ。

午後5時、JR茅ケ崎駅北口前。どこからともなく、プラカードを持った人々が集まり、1列に並び始める。多い日で数十人。「原発ゼロ」「特定秘密保護法反対」-。それぞれ発信したいメッセージを持ち、ただ立つだけの人もいれば、チラシを配布したり署名を集めたりする人もいる。毎月9、19、29日に1時間、繰り広げられる光景だ。「輝け!憲法9条」と書かれたプラカードを持つのが岡本さん。10年間、一日も欠かさず参加している。

運動を始めたのは、2003年12月29日。アフガニスタンでの紛争が続き、イラク戦争が始まっていた。航空会社を早期退職後、地元の茅ケ崎で何か活動したいと考えていた。「今こそ憲法9条の意味を広めたい」と思い立った。

根底には、子どものころの戦争体験がある。2歳のとき、軍用車の整備をしていた父と母、兄の4人で満州(現・中国東北部)に渡った。敗戦後、日本に戻ることになったが、列車での移動は過酷を極めた。「屋根のない貨物列車に何十人も詰め込まれ、風呂も入れず、何も食べられない日もあった」。病気になった2歳上の兄は、病院に行けず、移動途中で命を落とした。

「ずっとぼうぜんとしていた。小さいころの記憶だけど、ものすごく頭に残っている」。平和を願う原体験だ。

運動は、個人にこだわった。「団体として行うと、集まる人が限定されてしまう。いろんな世代、職業の人に伝えたい思いを、一市民として自由に意思表示する場をつくりたかった」。誰でも参加しやすいよう、プラカードを持って立っているだけでもいい。曜日を固定すると、通行人も限られるため、9条にちなみ「9」の付く日に決めた。

運動を始めて半年後、井上ひさしさんら著名人の呼び掛けで「九条の会」が誕生。呼応した運動参加者らも県内初の地域グループ「九条の会・ちがさき」を立ち上げた。全国集会などで「9の日スタンディング」を紹介すると、各地に広まっていった。当初は60代が主だったが、特に11年の東日本大震災以降、20~40代の世代が増えた。制服姿の中高生が来ることもある。現在のスローガンは「原発のない社会、9条がある社会」だ。

「この10年で、大きく変わったことがある」。日本では原発問題などを契機に、今まで声を上げてこなかった人が主張するようになった。世界でも、「アラブの春」など若者の声で革命が起きた。

茅ケ崎でも、兆しがある。今年11月上旬に、特定秘密保護法案反対を呼び掛けるチラシを配った際、行き交う人々の反応は鈍かった。だが、次第に関心が高まり、月末の2日間では1800セットを配り終えた。「法案は可決されたが、これで終わりとは思っていない。世論は変わると実感できたから」

当初、目標にしていた年月を迎えた。あらためて思う。「9条でも原発でも、本当の意味で実現する社会を目指そうと思ってくれる人が一人でも増えたらうれしい。あともう10年は立ち続けたいね」

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