「#あちこちのすずさん」は全国のメディアとの連携企画です。今回はNHKに寄せられたエピソードのひとつをご紹介します。ほかのエピソードはこちら(カナロコを離れます)。

広島県呉市の軍需工場で働いていた、ふみさん(昭和3年生まれ)のエピソードです。
「16歳の頃のことです。高等女学生だったわたしは、学徒動員で呉市にある海軍の工場で働いていました。
※ちなみに高等女学校とは、当時の女子が尋常小学校を卒業してから3~5年の期間を過ごす中等教育機関です。
休憩時間の何よりの楽しみは、内線番号1番に電話をすることでした。1番は、呉鎮守府長官室の内線番号で、かけると秘書の軍人が電話に出たのですが、その秘書の声がハキハキとして、とてもかっこよかったのです。
同級生みんなで電話を囲んでは、1番の番号に電話をかけ、「はい!鎮守府長官室です」という声を聞いた途端、ガチャッと電話を切り、「聞いた?いい声~!」とキャッキャと盛り上がっていました」。
こちらの投稿を寄せてくださったのは、ふみさんの孫のすけさんです。小学3年生の頃、「おじいちゃんおばあちゃんに戦争の話を聞こう」という宿題があり、そのときに聞かせてもらったのがこの話でした。
他にも、名簿で面白い名前を見つけては顔を見に行っていた、という話もしてくれたのだとか。戦争にまつわる話はどれも悲惨なものばかりだと思っていたすけさんは、当時の女子学生が学徒動員の日々の中でも、自分たちで楽しみを探していたのだな、10代の女子らしいエピソードだなと微笑ましく感じたそうです。