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中華街築き上げた「老華僑」の陳さん 水餃子は絆の味

社会 | 神奈川新聞 | 2020年8月3日(月) 11:52

家族ぐるみで親しい陳さん家族(前列)と王さん夫婦=7月29日、横浜中華街の「王家餃子」
家族ぐるみで親しい陳さん家族(前列)と王さん夫婦=7月29日、横浜中華街の「王家餃子」

 今の横浜中華街を築き上げた「老華僑」の一人、陳福坡さん(98)は数え年で99歳を迎えてなお食欲旺盛だ。ふるさとの中国東北部で親しまれている郷土料理の水餃子(ギョーザ)や合子(ホーズ)(おやき)を囲みながら親族や親友家族らと会話を楽しみ、絆を強めることが長寿の秘訣(ひけつ)と明かす。

 陳さんは、現在の中国黒竜江省牡丹江市出身。牡丹江沿岸に位置する寧安市の農村で、地主の家系に生まれた。国共内戦でふるさとを追われて台湾に逃れ、1955年に来日した。「日本では亡命のような生活で大変だった」と振り返るが、56年に明治大に入学、東京大でも学んだ。

 横浜で暮らし始めたのは60年から。妻と2人で喫茶店を経営した後、73年に中華街に「華都飯店」を創業。水餃子など自慢の家庭料理を提供してきた。

 その傍らで、華僑社会の同郷組織「横浜中華会館」を再興するなど、中華街の発展にも尽力。故・王慶仁さんと一緒に汗を流してきた。王さんは20年に黒竜江省明水県で生まれ、49年に台湾に渡り、51年に来日。2009年に亡くなるまで横浜で暮らし、同郷の2人は家族ぐるみの付き合いを続けてきた。

 つい最近は、陳さんが娘や孫、ひ孫を連れて王さんの長男王孝民さん(58)と妻朱紅さん(55)が営む「王家餃子」を訪ね、手作りの中国東北料理を楽しんだ。中でも「おいしい。ふるさとの味」と喜んだのは、ニラと卵、春雨が入った中華風おやき(韮菜合子(ジウツァイホーズ))。長さ20センチほどの特注品で、陳さんはたっぷりの香醋(こうず)に付けて笑顔で平らげた。

 料理を囲みながら話題に上ったのは、新型コロナウイルスの影響だ。来日して65年の陳さんでも「今までにない初めての経験。今が一番苦しい」と吐露。どんなに苦しい時でも胸を張って頭を上げて過ごしてきた陳さんが、180センチを超える体を縮ませた。

 そして「対国以忠、対人以義」と紙に書き、「東北人が大切にしているのは道義だよ」と強調。「私たち華僑は日本に多くの経済的な貢献をしてきた。今度は私たちを助けてほしい」と訴えた。一部の中華料理店に中国人を誹謗(ひぼう)中傷するヘイト手紙が届いたことに、「今初めて聞いた、さみしい」と苦悩を浮かべた。

 中国東北部では、家族が集まって最近の出来事を話しながら水餃子を一緒に作り、食べるのが風習だ。陳さんらは「水餃子は家族だんらんの象徴。東北人が愛した郷土料理を食べて、東北人の心を知ってほしい」と願っている。

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