
河川氾濫が相次いだ昨年10月の台風19号の教訓を踏まえ、県と市町村が中小河川の避難対策を強化する。県が中心となって簡易型の水位計や監視カメラを増設し、市町村は普及が遅れている住民個々の防災行動計画(マイ・タイムライン)や要配慮者利用施設の避難確保計画の作成を支援していく。温暖化を背景に豪雨の激化が懸念される中、住民や地域とともに「逃げ遅れゼロ」への取り組みに本腰を入れる。
県河川課によると、対象は相模川中流や酒匂川、境川、大岡川など、県と横浜市が管理する1、2級の118河川。これらの河川について2018年1月にまとめた減災対策の方針を今年6月に改定した。
新たに盛り込んだ柱の一つは、洪水時の観測に特化した低コストの危機管理型水位計と簡易型監視カメラの増設だ。
水位計は既に63カ所、カメラは72カ所に設置済みだが、県は「市町村の希望を踏まえ、必要性の高い箇所にさらに増やしていく」と説明。水位計などの観測データは専用のウェブサイトで公開されるため、住民はより身近な地点の増水状況を確認し、避難の判断に役立てることが可能になる。
マイ・タイムライン作成の全県的な展開も、新たな試みとなる。住まいの立地環境や家族構成を考慮した上で、住民それぞれが豪雨時の避難のタイミングなどをあらかじめ決めておくチェックリストだ。15年9月の関東・東北豪雨で広範囲に浸水被害が出た鬼怒川の流域で普及しているが、神奈川での作成の動きは一部の市町村にとどまっていた。