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東京五輪追い風で自転車の街へ 愛好家、高まる機運

社会 | 神奈川新聞 | 2013年10月3日(木) 17:57

ロンドンのサイクル・スーパーハイウエー。青く色分けされ、自転車同士も追い越せるほどの幅がある(秋山さん提供)
ロンドンのサイクル・スーパーハイウエー。青く色分けされ、自転車同士も追い越せるほどの幅がある(秋山さん提供)

 オリンピックを機に東京を自転車の街に-。2020年夏の五輪開催決定を受け、自転車を愛好する人たちの間でそんな機運が盛り上がっている。前回12年大会が開かれたロンドンが「車のない五輪」を掲げ、「自転車の街」に生まれ変わったからだ。人口過密、交通渋滞と共通の問題を抱えた日英の首都。五輪を追い風に実行された施策は、日本の自転車行政を変えるヒントに満ちている。

 名付けて「サイクル・スーパーハイウエー」。08年から整備が始まった自転車専用路はロンドン中心部に向かって12ルート、総延長100キロ以上にわたって計画された。

 「スーパーといっても、車道の左側を青く色分けしただけのものがほとんど。ただ、どのルートも最短距離で中心部に向かっている。自転車に高い優先権が与えられていることが分かる」。現地を取材し、著書「自転車が街を変える」にまとめたフリーライターの秋山岳志さん(50)はそう語り、「日本の自転車行政はロンドンを目指すべきだ」と断言する。


■快適さに気付く
 欧州にあってロンドンは自転車の利用率が低く、「車と公共交通機関の街」だった。渋滞は慢性化。地下鉄はトラブル多発で信用性が低く、それを嫌った人が車に乗り、それが渋滞を生み、バスも遅れるという悪循環にあった。

 解消すべく手始めに行ったのが03年、都市部に向かう車に課税する渋滞税の導入。05年には欧州の他国のレベルに追いつこうと「自転車都市計画」を策定した。

 流れを決定づけたのは、この年に起きた同時多発テロだ。バスと地下鉄が爆破され、公共交通機関は1カ月まひした。市民は自転車に乗り始めた。「東日本大震災直後の首都圏と似た状況。ただ自転車の快適さに気付いた市民は地下鉄に戻らなかった」と秋山さん。

 翌年には朝の通勤時に中心部へ入る自転車の台数が車を逆転。エコをうたった五輪開催がさらなる追い風となり、自転車政策は一気に進んでいった。


■エコアピールも
 「ロンドンの政策はゼロからのスタート。だからまねもしやすい。渋滞など東京と重なる問題も多い」。そう説くのはNPO法人自転車活用推進研究会理事で、関連著書も多い疋田智さん(46)だ。

 着目するのが、東京が半径8キロに主要会場を集中させる「コンパクト五輪」を掲げ、開催を射止めた点だ。「会場をつなぐ道路に自転車が走るブルーゾーンを造るべきだ」と疋田さん。環境への配慮のアピールになることはもちろん、観客の利便性が高まり、交通費もかからない。ここに「日本の正確な公共交通が加われば、渋滞もかなり緩和できる」と提案する。

■東京で始まれば
 日本の自転車行政の遅れを物語る数字がある。

 国内の死亡交通事故のうち、自転車運転中のものが約14%を占める。欧州では歩行者の事故と合わせても3割未満だ。疋田さんは「多くは横断歩道などでの出合い頭。自転車専用路を車道に設け、車のドライバーに視認させるだけで防げる」と訴える。

 疋田さんは、都政がその意志を強く示すのが何より大切だと語る。「ロンドンは一から始めてテロから五輪まで7年でやり遂げた。東京五輪もあと7年。夢物語でなく、われわれにだってできないはずがない」

 県内でも相模原市が「自転車のまち」を掲げ、一方通行の自転車専用路を国内で初めて整備したが、500メートルに満たない。疋田さんは「良くも悪くも、この国は東京で始まったものが広まっていく。他の都市に影響を与えることは間違いない」と話している。

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