
県警が今年上半期(1~6月)に認知した特殊詐欺の件数(暫定値)は956件で、通年で過去最多(2793件)を記録した昨年同期に比べ350件減少した。被害総額も約15億3700万円で、同約9億円減った。ただ、認知件数、被害総額とも東京都内に次いで多く、犯行グループが県内の高齢者を標的に、資産をかすめ取り続ける実態は変わっていない。県警は「検挙、抑止の両面で対策に総力を挙げる」(大賀真一本部長)としている。
被害者の約9割は70代以上の高齢者。新型コロナウイルスの感染拡大で、県内に緊急事態宣言が出された4月上旬から5月下旬にかけても、毎日のように認知があったという。
手口別では「キャッシュカードすり替え型」が357件(同131件増)で全体の4割近くを占め最多。「口座が悪用され、キャッシュカードを交換する」などうその口実で高齢者宅に現れた受け取り役が、「新しいカードができるまで保管するように」などと封筒に入れるよう誘導。家人が目を離した隙に別のカードが入った封筒にすり替え、暗証番号を聞き出した上で現金を引き出す手口だ。
県警は、被害者の手元にダミーのカードが残るため、現金自動預払機(ATM)で1日に引き出せる金額に上限が設定される中、発覚までの時間を稼ぐことができ、犯行グループにとって好都合とみる。親族を装う「おれおれ詐欺」や架空請求詐欺などに代わり、昨年以降急増している。