3歳の男児を一時保護した児童相談所が、アレルギーの原因となる卵を含む食事を与えて男児を死亡させたとして、両親が横浜市などに計約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、市に約5千万円の支払いを命じた一審横浜地裁判決を取り消し、請求を全面的に棄却した。
井上繁規裁判長は「アレルギー反応によるアナフィラキシーショックが死因とは認められず、突然死の可能性も否定できない」と判断した。
判決によると、男児は2006年、東京都世田谷区の病院で、手足の骨が変形する「くる病」と診断されて入院した。病院は「両親が適切な栄養を与えない虐待の疑いがある」と児相に通告。一時保護した児相は男児に卵を含んだちくわを誤って食べさせ、食事から約7時間後に亡くなった。
井上裁判長は「アナフィラキシーは食事から2時間以内に発症することが多いが、男児が食事して4~5時間、発症は認められなかった」と指摘した。
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