全国で初めてヘイトスピーチに刑事罰を科すことを盛り込み、7月に全面施行された「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を解説するブックレットが発行された。著者は人権NGOや弁護士、研究者らでつくる「外国人人権法連絡会」事務局次長で、レイシズムの現状に詳しい社会学者の瀧大知さん。条例制定の背景から課題までを網羅しており、発行元は「川崎市に続く自治体の条例づくりの手引きにしてほしい」と期待を込める。
「ヘイトスピーチ規制は世界的に共通の認識」「日本には反差別法がなく『誰もが安心してレイシストになれる先進国唯一のレイシズムフリー国家』」「日本社会はマイノリティが『沈黙』させられ、『表現の自由』を一方的に奪われた『絶対的差別社会』」
ヘイトデモやヘイト街宣の現場で調査を続ける瀧さんはさまざまな識者の論評を引き、レイシズムがはびこる現状を分析。「差別に苦しめられているマイノリティを守るために、国に先駆けてヘイトスピーチを『犯罪』と位置づけた」条例の意義を「画期的」と評する。