横浜駅西口の横浜高島屋ギャラリーで「ユトリロ展」が18日、始まった。静かなたたずまいのパリの街角を描き、現在も人気の高い画家。油絵を中心に、初期から絶筆までの約70点が並び、40点以上が日本初公開となっている。神奈川新聞社などの主催。
ユトリロ(1883~1955年)の母は恋多き女性で、ルノワールやドガなど多くの画家が恋人だった。ユトリロの実の父が誰かも分かっていない。母は息子の面倒をほとんどみず、ユトリロは孤独な子ども時代を過ごした。
祖母が与えたワインをきっかけに少年時代から飲酒になじみ、入退院を繰り返すなど、生涯、アルコール依存症で苦しんだ。絵を始めたのも、依存症のリハビリのためだった。
同展の監修を務めた多摩美大の中村隆夫教授は、ユトリロが描く、人けがなく窓のよろい戸も閉まったままのひっそりした街の描写を「満たされない魂を風景に投影している。孤独な思いが込められ、訴えてくるものがある」と評する。
会場には多くの美術愛好家が訪れ、作品やその生涯を記したパネルなどを、熱心に見入っていた。
30日まで。一般千円、高校・大学生800円、中学生以下無料。問い合わせは横浜高島屋電話045(311)5111。
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