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原発避難で被災者44人集団提訴、国や東電に賠償求める/横浜地裁

社会 | 神奈川新聞 | 2013年9月11日(水) 23:42

東京電力福島第1原発事故の影響で避難を余儀なくされたとして、福島県から県内に避難してきた被災者ら44人が11日、国と東京電力(東京都)に慰謝料など約11億円の損害賠償を求める集団訴訟を横浜地裁に起こした。原発事故避難者による集団訴訟は、札幌や愛知、新潟などでも起こされており、県内では初めて。

訴えたのは、原発事故のため福島県から神奈川県内に避難している被災者ら17世帯の計44人。うち12世帯27人は事故前、南相馬市や富岡町、浪江町などの避難指示区域に住んでいた。5世帯17人はいわき市などに居住、自主避難している。

訴状によると、東電は津波の予見性があったのにもかかわらず有効な手だてを取らず、国は原子炉の安全確保に規制権限を持っていたのに適切に行使しなかったため、事故を防げなかったとしている。

請求額には、避難そのものへの慰謝料(事故後から1人当たり月額35万円)と、故郷やこれまでの生活を奪われた慰謝料(1人当たり2千万円)、土地や建物、家財などの損害補填(ほてん)を盛り込んだ。

原告の大半は裁判外紛争解決手続き(ADR)を行っているが、「基準通りでは完全賠償には程遠い」として提訴に踏み切った。弁護団は県内に避難する約250世帯700人から相談を受けており、追加提訴も検討している。

原子力規制庁は「訴状を見ておらずコメントは差し控える」、東電は「訴状が届いておらず詳細は承知していないが、真摯(しんし)に対応していく」とコメントした。

◇「無責任な国に憤り」

「訴えを聞いてくれるのは、もう司法しかない」。東日本大震災の発生から2年半となった11日。原発構内からの汚染水漏れなど、事故は収束のめどが立たないまま、時計の針だけが進む。提訴に踏み切った原告たちは、被災者と向き合わない国と東電への怒りや憤りを募らせている。

「訴訟で問いたいのは、国の姿勢です」。原告団長の村田弘さん(70)=横浜市旭区=は、提訴後の会見で声を震わせた。

自宅は福島第1原発から20キロ圏内に位置する南相馬市小高区。突然の事故で、そこにある空気や匂いもろとも故郷を奪われた。

毎年、秋風を感じるこの季節の楽しみだったキノコ採り。それも「もう何百年も食べられないだろう」。港は大好きなカツオやサンマの水揚げでにぎわう時期だが、汚染水漏れの影響で漁業の再開は揺れている。

にもかかわらず、安倍晋三首相は五輪開催地選考の最終プレゼンテーションで汚染水を「まったく問題ない」とし、原発は「コントロールされている」と言い切った。「一体、どこを向いているのか」。耐えられない思いだった。

訴えでは、故郷やこれまでの生活を奪われた慰謝料も求めている。「国相手の裁判は時間がかかると分かっている」。そう打ち明ける村田さんは、自らに言い聞かせた。「でも、この悔しさを放って生きるのはむなしい」

原告に名を連ねた女性は、当時小学校高学年だった娘と自主避難した。だが慣れ親しんだ土地を離れて悩む娘の姿に、「自身の選択が正しかったのか」と胸を痛める。「せめて、誰も責任を取らない世の中ではあってはならないと思う」。訴訟にわずかな希望を託す。

県によると、県内に避難する被災者は2330人(2日現在)。うち福島県からは2041人で約9割を占める。弁護団は、「一人の泣き寝入りも許さず、訴訟によって事故の風化を防ぎたい」と話した。

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