
記録的豪雨に見舞われた熊本県球磨村の施設に支援物資を届けるため、神奈川の災害ボランティア有志が10日、活動拠点の大和市を出発した。新型コロナウイルス感染拡大への懸念から、地元以外から駆け付けることには慎重な対応が求められている。そのため現地での活動は行わず、「一日も早い復旧を」との思いを込めた消毒済み物資の提供にとどめる。
被災地へ向かったのは、「やまと災害ボランティアネットワーク」の市原信行代表理事ら4人。
支援先は、大規模な浸水被害が起きた球磨川流域の保育園。市原さんが2016年の熊本地震支援の際に現地で知り合った男性が勤めている縁から連絡を取り合い、園側の希望を踏まえた物資と寄付金を届けることにした。
マイクロバスとワゴン車に積み込んだのは、米や飲料をはじめ、おむつ、タオル、スコップなど。市原さんらが昨年9月の台風15号を機に結成した支援団体「ユナイテッドかながわ」などと共同し、フェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)で提供を呼び掛けた。感染予防のための防護服も用意した。
11日午後に到着の予定だが、九州などでは再び大雨となる恐れが高まっている。「通行止めの箇所もあるので、状況によっては現地に入らず、別の場所で引き渡すこともあり得る」と市原さん。一方で、「コロナの問題もあるが、被災地で困っている人のために行動することも大切なのではないか」と投げ掛ける。
「複合災害」どう向き合う 探る後方支援の道
コロナ禍と大規模水害との「複合災害」にどう向き合うか─。県内の災害ボランティアは、被災地で活動できないもどかしさを抱えつつ、後方支援などの道を探っている。9日夜にはオンライン会議で情報を共有し、一歩を踏み出した。
「浸水した住宅からの泥出しなどにかなりの人手がいる状況なのだが…」。NPO法人「神奈川災害ボランティアネットワーク」の植山利昭副理事長は、支援ニーズがありながらも駆け付けられない悩ましさを口にする。