水害時の迅速な避難につなげてもらおうと、地元市町村や住民、消防団などと洪水リスクの高い地点を共有する「共同点検」が県内各地の中小河川で進められている。鬼怒川の堤防が決壊した2015年9月の関東・東北豪雨を教訓に始まった試みで、今月は横須賀市や小田原市などで実施された。
堤防が未整備だったり、低かったりして氾濫が発生する危険性が高い箇所を把握し、河川整備の現状などを確認する共同点検は、関東・東北豪雨後に国が打ち出した「避難を促す緊急行動」の一つ。県は酒匂川や相模川などを対象とした15年度から継続している。
本年度は11月に厚木市内の荻野川で実施。今月は、松越川(横須賀市)、山王川(小田原市)、狩川(小田原、南足柄市)、川音川(松田町)を対象とした。
7日に行われた山王川の共同点検には、小田原市消防本部や県警、自治会関係者ら約40人が参加。県の担当者は、想定される最大規模の降雨による浸水想定図を示し、川の特性などを解説したほか、2002年の台風や豪雨の際に発生した水害について振り返った。
今夏の西日本豪雨を受けて作製したチラシも配布。(1)ハザードマップで危険箇所を確認(2)雨が降り始めたら情報を確認(3)大雨になる前に早めの避難-という「『いのち』を守るための3つの心得」を伝え、防災情報が確認できる県や国のウェブサイトも紹介した。
参加した星山自治会長の早泉淳さん(72)は「大雨の度に川の氾濫が心配になる。内容を住民に説明し、意識を高めていきたい」と話した。
県河川課は「他の中小河川でもリスクを共有できるよう、今後も取り組みを継続する」としている。