
新たな観光資源で誘客を-。県は12日、「県観光振興計画」(2019~21年度)の素案を県議会国際文化観光・スポーツ常任委員会で示した。21年の延べ観光客数の目標は、過去最多となる2億1千万人。夜の飲食などを対象にした「ナイトタイムエコノミー」や早朝型観光を推進、宿泊客を増やすことで、来年のラグビーワールドカップ(W杯)、20年の東京五輪・パラリンピック後の反動を抑え、観光客をさらに呼び込む狙いだ。
素案では、21年の観光消費額総額は1兆3千億円、延べ宿泊者数は2500万人、外国人延べ宿泊者数は300万人を目標にしている。いずれも、東京五輪が開催される20年の目標を上回る。
国内外から訪れる観光客数はこの数年増加傾向にあり、17年に延べ2億69万人を記録した。一方で、観光客の大半は日帰り客。観光消費額総額も伸び悩んでいる。20年の延べ観光客数の目標は2億800万人。豪シドニー(00年)や北京(08年)では、いずれも五輪開催後に一時的に外国人観光客が減少した。ラグビーW杯、東京五輪の閉幕後、県でも同様の状況に陥る可能性があるという。
その中でも継続的に観光客を増やしていくため、夜間に飲食や観光が楽しめる「ナイトタイムエコノミー」を推進。川崎市の工場夜景クルーズ、営業時間が長い飲食店が集まる野毛地区(横浜市中区)の金券「野毛手形」の情報をはじめ、イルミネーションや花火など夜間も楽しめる県内の観光情報を県が取りまとめ、インターネットで発信していく。併せて、座禅や写経などができる早朝型観光も推進する。
県内では東京五輪までに客室数が約5千室増える上、県の調査では宿泊客の消費単価は日帰り客の約4倍に上る。夜間・早朝の観光資源の活用は、県内での宿泊と観光消費額を増やすことにもつながるという。
県の担当者は「観光の統計データや、五輪後の他都市の状況なども見ながら出した目標。簡単な数字ではないが、3年かけて実行していきたい」と話す。