
外国にルーツのある子どもたちが数多く通う川崎市立さくら小学校(川崎区)で11日、フィリピンの文化を学ぶ授業が行われた。多文化共生の実現が求められる中、民族料理や遊びに触れて目を輝かせる子どもたちの姿に、先生役のフィリピン人の母親からは「喜んでもらえてうれしい。ほかの学校でも取り組んでほしい」との声も聞かれた。
民族や文化の違いを豊かさと捉える人権尊重教育の一環。「フィリピンとなかよし」と題し、多文化交流施設・市ふれあい館との協働で取り組まれ、10年目を数える。
地域の母親らの手ほどきで1~3年生の児童がフィリピンの春巻き「ルンピア」作りやバンブーダンス「ティニクリン」に挑戦した。3年生の担任の白(ペク)満洙(マンス)教諭(41)は「おいしい、楽しいという体験から、自分と違うルーツを持つ友だちがいることを喜びと感じてほしい」と話す。
パイナップルの繊維でできた民族衣装も人気で、同館職員に「とても似合っているわよ」と声を掛けられ、「僕はフィリピン人だからね」と笑顔を見せるフィリピンルーツの児童も。白教諭は「朝鮮半島や中国、南米にルーツを持つ子どもも多い。この授業を通じてフィリピンの子どもだけでなく、障害を含めてあらゆる違いが受け入れられていると感じてくれれば」と言う。
国会では外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正入管難民法が成立し、多文化共生の実現へ環境整備などが課題として指摘される。先生役を務めた橋口マリーさん(47)は「この地域に限らず外国人はすでに多く暮らしている。同じ取り組みをほかの学校に広げてほしい」と話していた。