【時代の正体取材班=石橋 学】在日コリアンに対するヘイトスピーチを繰り返す差別主義者らが川崎市教育文化会館で集会を計画している問題で、市が主催団体に対し、差別的言動をしないよう「警告」を行うことを検討していることが30日、分かった。公的施設での差別的言動を防ぐガイドラインで規定する行政指導で、過去の言動などから集会でヘイトスピーチが行われる可能性が「高くはないがある」と判断した。
警告が行われれば、全国に先駆けて今年3月に運用が始まったガイドラインに基づく公的施設の初の利用制限となる。利用制限の中で警告は最も軽いもので、市は集会当日の12月2日まで情報収集と検討を続ける方針。状況に応じてより重い「条件付き許可」「不許可」に判断が変わることもあり得るとしている。
主催団体は、極右政治団体・日本第一党最高顧問の瀬戸弘幸氏が立ち上げた「ヘイトスピーチを考える会」。弁護士を講師に学習会を開催するとし、市に同会館会議室の利用を申請していた。
市はガイドラインに照らし、瀬戸氏らがブログなどで発信する告知情報や過去の言動から利用の可否を検討。30日時点で、少なくとも警告の要件である「差別的言動を行う意思がないと表明していても、行われる可能性が高くはないがある」に該当すると判断した。6月3日に同会が計画した集会で参加者が「ウジ虫、ゴキブリ、日本から出ていけ」と発言したことを重くみたという。
集会当日に、主催者側に使用の許可を伝えた上で差別的言動を行わないよう文書で警告する見通し。ヘイトスピーチを行った場合、公的施設の使用を今後制限する内容を盛り込むことも検討している。
ガイドラインはヘイトスピーチ解消法に基づき今年3月に導入。「公の施設において差別的言動が行われることを制度的に防止することが求められる」と目的を明記している。瀬戸氏はデモや集会、ブログなどを通じ在日コリアンへの差別扇動を繰り返してきた。