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「まっとうな移民政策を」 入管法改正案通過に支援団体

社会 | 神奈川新聞 | 2018年11月28日(水) 12:44

 人手不足を背景に、新たな外国人労働者の受け入れ拡大を目指す入管難民法改正案が27日、強行採決の末に衆議院を通過した。すでに多くの外国人が日本で暮らす一方、労働環境や教育、社会保障など外国人を取り巻く環境は未整備のままで、国会審議でも解決への道は全く見通せない。「外国人は人間だ」。審議時間が十分に確保されない中で採決を急いだ政府・与党の姿勢に、県内の外国人支援団体などからは怒りの声が上がる。

 「一言で言うとむちゃくちゃだ」。外国人労働者を支援する「カラバオの会」(横浜市中区)の渡辺英俊さん(85)は、政府・与党の強引な姿勢に語気を強める。「人間を扱っている認識が全くない。外国人をモノみたいに考えている」

 「人間は、来れば定住する」と、30年を超える活動で実感する。日本で人間関係を築いている上、出身国の経済状況も好転しないからだ。「国際的な経済行動の中で、必然として起こること。来るものは来る。都合良く入れられはしない」と語る。

 現に、日本で暮らす外国人は250万人に上り、日本社会も経済的必要性などから受け入れてきた。だが仕事や住居、言語・文化の違い、子ども世代の進路など、山積する課題は放置されたままで、今国会でも正面からの議論は見られない。「まっとうな移民政策を作らなければならない。根本として、すでに来ている人たちが安心して日本社会の構成員として生活できる方法を話し合う必要がある。移民政策を立て直すべきだ」

無責任法案

 「使い勝手のいい労働力を確保するための都合のいい法案であり、無責任な法案だ」。国籍を問わず、誰でも入れる労働組合「神奈川シティユニオン」(川崎市幸区)の村山一兵執行委員(37)は入管難民法改正案をそう切り捨てる。

 新たに設ける「特定技能1号」は技能実習生が移行することも想定されている。ただ、長時間労働や賃金未払い、雇用主からの暴力などといった技能実習制度の問題点を置き去りにしたままの受け入れ拡大の議論へは嫌悪感が強い。

 最低賃金を守ってもらえなかったり、けがで働けないのに無理やり出勤させられそうになったり。さまざまな事情を抱えた外国人が日々相談に訪れる。「現状を改善しなければ、新たな在留資格で受け入れる外国人労働者がより劣悪な労働条件で働かされかねない」

 日本で働く外国人は年々増え続けているが、技能実習生や留学生のアルバイトが人手不足を補っている実態がある。村山さんは「新たな制度が外国人にどれだけ受け入れられるか。(受け皿を整えなければ)日本の産業が疲弊していくのではないか」と指摘する。

乏しい議論

 医療面から外国人労働者を支援する港町診療所(横浜市神奈川区)の沢田貴志所長(57)は、「技能実習生の不適切な労働条件をただすチャンスだが、ほぼ議論がない。残念だ」と声を落とす。労働条件が守られず体調を崩す技能実習生を多く診た。「新しい在留資格でも、同じ問題が起こらないか心配だ」

 本来、技能実習生には労働法規が適用され、傷病休暇後には職場に復帰できるはずだ。ところが、帰国を促されるなどして戻れない例が多発する。「改善に向け、労働条件の監視や相談体制を整備する必要がある。だが、そういった議論がきちんとされたか懸念がある」と語る。

 「単なる労働力ではなく、外国人も人間だ」と力を込める。きちんとしたサポートがなく、単なる労働者として切り捨てられれば、困窮化する可能性がある。「そうなると日本の評判を落とすだけでなく、社会全体の不健康を招く。日本にいれば等しく健康になるような方策を求める」と改めて訴えた。

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