政府が外国人労働者に大きく門戸を開こうとしている。政府方針では今後5年で最大6万人の受け入れを見込むとされた介護分野は、海外人材の活用では先行する業界だ。新たな人材との共生から得てきた教訓とは何か。神奈川の現場から考える。
面談は朝から始まった。会場は中国・遼寧省、大連のホテル。スーツ姿の若い男女が、緊張した面持ちで順番に席に着いていく。
「まだ日本語が十分ではないので、お年寄りと話をできるか不安です」
若い男性が不安をのぞかせた。
「日本の介護は、高齢者の表情も見て異変がないか注意しながら支援をしていく手法。しっかり学べば、技術も身に付きますよ」
介護留学制度への参加予定者を、面談者役を務めた横浜市福祉事業経営者会のコーディネーター、福山満子さん(54)が、中国語で励ました。ここで会話が日本語に変わる。
「(施設で)会話をするときは、相手の顔を見て話すこと。それと、来日まで日本語の本を読んで、しっかり勉強を、ね」
福山さんは中国生まれ。残留邦人だった母の帰国に伴って日本に移り、多感な少女時代を過ごした。「母国を離れて学ぶ留学生の気持ちがよく分かる」。彼らにとっては、日本で頼れる相談相手だ。
中国各地から集まってきた彼らは来日後、留学生に週28時間まで認められた「資格外活動」を使い、横浜の高齢者施設で…