横浜港に絡む事業の主導権を握ってきた藤木幸夫氏(89)が横浜港運協会の会長を退いたことを巡り、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の行方に波紋が広がっている。反カジノの急先鋒(せんぽう)が主要な肩書を降ろした背景にあるのは、カジノ大手の撤退表明で誘致構想が頓挫したとの判断だ。一方、横浜市の林文子市長は推進姿勢を崩しておらず、ミナトの地殻変動がもたらす影響は未知数。山下ふ頭を舞台にした再開発の先行きは、見通せない状況が続いている。
米大手撤退で「退く判断」

「カジノも決着しちゃったしな。つまらないや」
横浜開港記念日の6月2日。神奈川新聞社の取材に応じた藤木氏は、政府や市が推し進めてきたIR誘致計画は破綻したとの見方を示した。
横浜誘致の最有力とされていた米カジノ大手のラスベガス・サンズは5月、日本からの撤退を表明。