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横浜港 山下ふ頭巡り にぎわい拠点へ私案続々 「市民意見踏まえ検討を」

社会 | 神奈川新聞 | 2018年11月16日(金) 10:04

 横浜市が新たなにぎわい拠点として再開発を目指す横浜港・山下ふ頭(同市中区、約47ヘクタール)を巡り、市民や地元団体から多彩な施設の提案が相次いでいる。埋め立てで失われた浜辺の再生やアザラシの飼育施設など、水辺で憩い、海に親しめる市民活動拠点の候補地として熱い視線を注ぐ。行政に働き掛けたり、民間に出資を募ったりと実現に向けて動いている。

 市は2015年に「ハーバーリゾート(HR)の形成」を将来の都市像に据えた山下ふ頭の開発基本計画を策定。観光・MICE(国際会議などの総称)、文化芸術、エンタテインメント、リゾートなどを実現する八つの基本方針を示している。

 国際会議場・展示場などのMICE施設を民設民営で整備する私案を発表している横浜港運協会会長の藤木幸夫さん(88)は「開発基本計画にはカジノを含む統合型リゾート(IR)について直接の記述はない」と指摘。「山下ふ頭の再開発はカジノが前提ではなく、市民の意見を踏まえて検討すべきだ」と話す。

ハマに浜辺を


 かつて横浜に広がっていた浜辺の復元を提案しているのは、NPO法人「ともに浜をつくる会」(同市南区)。自然の砂浜は市内には野島公園(金沢区)にわずかに残るだけという。


山下ふ頭に砂浜の再生を呼び掛ける石田さん=横浜市南区
山下ふ頭に砂浜の再生を呼び掛ける石田さん=横浜市南区

 構想では、山下ふ頭の新山下側に人工の砂浜や小型ボート用の桟橋、釣り施設がある水辺の公園と、レストランや商業施設を設ける。浜辺ではノリの養殖体験ができるようにし、ミュージアムも併設することで市民や観光客が横浜の海辺を楽しめる空間にする。

 「ビーチパークプロジェクト」と題した構想を10年がかりでまとめた理事長の石田猛さん(88)は元漁師で、かつて本牧で養殖ノリを生産していた。

 「海岸線が埋め立てられるまで、江戸前で知られた魚介類の豊かな海だった」と振り返り、「子どもたちにも安心して海を楽しんでほしい」と願いを込める。

 その上で「山下ふ頭の再開発によって得られた利益は、この横浜のために、市民が喜ぶようなものに使ってほしい」と訴える。

北極海知って


 山下ふ頭を候補地の一つとして、アゴヒゲアザラシの飼育施設「タマちゃんマリンランド」を構想しているのが市民団体「タマちゃんを見守る会」顧問の廣崎芳次さん(91)だ。


「タマちゃんマリンランドを横浜港に」と呼び掛ける廣崎さん=横浜市保土ケ谷区
「タマちゃんマリンランドを横浜港に」と呼び掛ける廣崎さん=横浜市保土ケ谷区

 廣崎さんは元江ノ島水族館の館長。水中で生きる生物の生息環境を守るとともに地域を活性化させるコンサルタント会社「野生水族繁殖センター」(藤沢市)の代表を務め、北海道紋別市のアザラシ保護・飼育施設「オホーツクとっかりセンター」で30年余り飼育業務の指導役を担った。

 タマちゃんが多摩川や帷子(かたびら)川などに現れて16周年になることを記念して10月に横浜市内で開いた講演会で廣崎さんは「横浜市民はタマちゃんに優しかった。タマちゃんの仲間に北極海から来てもらい、横浜港でのびのびと暮らしてもらう。市民は北極海に思いをはせてほしい」と話した。

 横浜港を選んだ理由は、近年開発が進む北極海航路の存在だ。国土交通省によると、ドイツ・ハンブルク港から横浜港への航行距離は、スエズ運河を通る「南回り航路」(約2万1千キロ)の約6割となる約1万3千キロに短縮でき、燃料も安く済むという。「タマちゃんの古里を通る船が発着する横浜港でやることに意味がある」と強調する。

 飼育施設の具体化はこれから。「飼育員は紋別から派遣するので飼育の心配はない。施設の冷却には太陽熱や風力発電など自然エネルギーを使う」と説明し、官民挙げた構想に発展させたい意向だ。

本格開発まで 多彩な催し展開へ


 山下ふ頭を巡っては、横浜市は将来の再開発の本格着手に向けて既存の建造物の解体を進める一方、現在も操業する倉庫や港湾荷役などの民間事業者に対して移転交渉を続けている。

 市の山下ふ頭再開発調整課によると、民間倉庫の移転交渉は2017年度までに7棟、18年度に1棟で補償契約を済ませた。残り16棟は同区の本牧ふ頭A突堤などに移転候補地を設けることで交渉を継続する考えだ。

 既に移転が終わり解体に着手したのは民間の建造物が7棟、市の上屋が3棟、山下厚生センター1棟の計11棟。19年秋ごろには同ふ頭山下公園側の岸壁に沿った約9ヘクタールを更地にして本格開発までの間、暫定的に有効活用する方針だ。


横浜港の貿易を支えた倉庫などの解体が進む山下ふ頭=横浜市中区
横浜港の貿易を支えた倉庫などの解体が進む山下ふ頭=横浜市中区

 市は20年東京五輪・パラリンピック期間中、山下公園側の岸壁にクルーズ客船を宿泊施設として長期停泊させるホテルシップとして、「サン・プリンセス」に続く2隻目の客船の誘致を進めている。市の客船事業推進課は「2隻が連なって係留できるように最終調整を進めている」と話し、周辺のにぎわい創出への一層の相乗効果を期待する。

 五輪・パラリンピック期間中には、広大な更地を活用して多彩な集客イベントを民間事業者などと連携して展開することにしている。市は、臨海部を巡る連接バスなどの公共交通を受け入れる交通広場の整備や歩道の暫定的な整備を検討している。

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