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時代の正体
日米安保60年(上)横須賀と沖縄 希望は「自治体の力」

社会 | 神奈川新聞 | 2020年6月23日(火) 10:00

 現行の日米安全保障条約は23日、発効から60年となった。神奈川で平和運動の先頭に立つ2人に聞いた。日々の暮らしと基地、そして私たちにできること。

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海上から米軍や自衛隊への抗議活動を続けてきた新倉さん=横須賀港
海上から米軍や自衛隊への抗議活動を続けてきた新倉さん=横須賀港

 予期せぬ“告白”だった。

 辺野古新基地建設は土砂の投入が止まらず、事態は切迫している。繰り返し表明した民意は無視され、時に「民主主義は死んだ」とさえ言われる。平和運動に携わる一人として、沖縄の現状といかに向き合うか。そう問うた時だった。

 19秒の沈黙。市民団体「非核市民宣言運動・ヨコスカ」のメンバー、新倉裕史さん(72)=横須賀市=は黙考し、絞り出した。

 「沖縄には、行かない。そう決めていた時期があるんです」

 手元に落とした視線を上げる。

 「沖縄を訪れ、運動に触れ、知人もできる。それだけで、多少なりとも主体的に関われたと錯覚する。時に『沖縄で元気をもらってきた』とまで言ってしまう。むしろ私たちが、元気を置いてこなければならないのに」

 一呼吸置き、言葉を継ぐ。

 「横須賀で自身の運動に全力を注ぐ。そして、折に触れて沖縄を語り、一枚でも多くのビラをまく。足を運ぶことで沖縄の人たちの負担にならずとも、つながる道はあるはずです」

 横須賀で平和運動に取り組んで半世紀。現場の労苦を肌身で知るからこその気遣いだった。

 一方、その知見ゆえ、各地で講演を依頼されることもある。沖縄も例外でなく、今年2月に開かれた民間港の軍事利用を巡る学習会でマイクを握った。

 2019年秋、沖縄では米海兵隊が県の再三の自粛要請に応じず、沖縄本島北西部の本部港の利用を試みた。沖合の伊江島でパラシュート降下訓練を行う際に使用する大型ボートの出入りが目的だった。有事の際に民間港も自由に利用するための地ならしとみられ、市民が陸上からのボート搬入を阻止した。

 新倉さんは横須賀港で米軍や自衛隊への抗議活動を重ねてきた経験を踏まえ、港湾法の意義を強調する。国家の管理下に置かれた港湾が軍港として利用された反省から、戦後の港湾管理を自治体に委ねた法律だ。

 「自治体は安全保障や基地を巡る問題に対抗しうる法的な力を持っている。その一つが港湾法です。港湾管理権は自治体にあり、米艦船の施設利用を拒否することができる。国家権力を法の下に置く戦後の法体系を駆使すれば、さまざまな局面でその暴走を食い止めることが可能です」

 神戸、富山新、小樽、博多、苫小牧-。米艦船の入港拒否は各地の港で実績がある。1998年には横浜港でも強襲揚陸艦の入港が見送られた。「自治体の平和力」に希望を持つ。

 講演は好評だった。沖縄で反基地運動をけん引する研究者からも「目からうろこの連続でした」と声を掛けられた。それでも、新倉さんは自問する。

 「平和運動に関わる一人とは言っても、沖縄が強いられてきた歴史や現状をどれほど理解できているか」

 横須賀での反基地運動はしかし、決して順風ではなかった。明治以来の軍都ゆえ、沖縄とはまた違った困難があった。

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 秒速10メートルを超える強風が吹き、白波を立てていた。

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