
【時代の正体取材班=石橋 学】海老名市条例によりデモを禁止し、宣伝活動を許可制としている海老名駅自由通路の問題を考える学習会が5日、同市内で開かれた。同駅自由通路における表現の自由を巡っては市民団体のメンバーらが行政訴訟を起こしており、弁護団長の大川隆司弁護士が市条例の法的問題を解説した。
同市海老名駅自由通路設置条例は2015年の改正で集会・デモを禁止し、募金や署名、広報活動は申請が必要な行為とした。
大川弁護士は駅前や歩道でのビラまきは許可不要とした1966年の東京高裁と91年の千葉地裁の確定判決を例示。駅前自由通路も道路であり、道路での宣伝活動は一般の交通に著しい影響を及ぼさない限り許可を求める必要はないなどとして、市条例は憲法と道交法に反し違憲で無効との見解を示した。
市条例の問題が表面化したのは今年3月。市は市民団体が行った「マネキンフラッシュモブ」と呼ばれるパフォーマンスがデモに当たるとして条例に基づき禁止命令を出し、市民団体メンバーらは表現の自由を不当に侵害するものとして命令の取り消しなどを求めて横浜地裁に提訴した。
大川弁護士は「海老名市と同様の認識を持っている自治体はほかにもある。通行の迷惑にならない限り、自由な表現行為は正当な権利行使だと広く知らせる必要がある」と裁判闘争の意義を強調。学習会を主催した「海老名自由通路を考える会」の井田憲治世話人代表は無届けで署名活動を行ったことを明かし、「市民が臆せず権利を行使していくことが憲法違反の条例を変えていくことにつながる」と話していた。