新型コロナウイルス感染症を巡る差別や偏見、いじめを防ごうと、日本赤十字社神奈川県支部が教育現場での啓発活動に乗り出した。「心と体を守る教育」をテーマに、県内の小中高校1634校に関連教材を提供。ウイルスは「病気」「不安と恐れ」「嫌悪・差別・偏見」─の三つの“感染症”で生活に影響を及ぼすとし、それぞれの立場で負の連鎖を断ち切る取り組みの実践を呼び掛けている。
「病気が不安を呼び、不安が差別を生み、差別がさらなる病気の拡散につながります」
大和市立大和中学校(同市深見西)が18日に実施した「第三の感染」の怖さを伝える授業で、道徳の教諭が感染症に絡む「差別」の実態を紹介した。
日赤の関連教材を活用し、3年生約250人が聴講。生徒たちは、教諭の「全ての人々にねぎらいと敬意を払おう」との呼び掛けに熱心に耳を傾けた。日赤が4月に配信を始めたアニメーション「ウイルスの次にやってくるもの」も放映し、偏見を持たないよう注意を促した。
真剣な表情で画面を見詰めていた女子生徒は、「お店の中で咳(せき)をしている人を見ると、コロナだと思い、離れようとしてしまっていた」。男子生徒は「いろいろな情報が横行しているので、身を守るために正しい情報を知ることができて良かった」と話した。