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坂本弁護士事件29年 同僚が墓前に死刑執行報告「風化させぬ」

社会 | 神奈川新聞 | 2018年11月3日(土) 21:39

墓前で手を合わせ、坂本弁護士一家の冥福を祈る参列者ら=鎌倉市山ノ内の円覚寺
墓前で手を合わせ、坂本弁護士一家の冥福を祈る参列者ら=鎌倉市山ノ内の円覚寺

 オウム真理教による坂本堤弁護士一家殺害事件は、4日で発生から29年を迎える。命日の前日に当たる3日、一家3人の眠る円覚寺(鎌倉市山ノ内)で法要が営まれた。事件を首謀した松本智津夫元死刑囚=執行時(63)、教祖名麻原彰晃=をはじめ、教団元幹部ら13人の死刑が7月、執行された。参列者の心中に去来するのは癒えぬ悲しみ。いまだ真相が解明されないままの事件を忘れさせない-。友人や同僚ら約40人は誓いを新たに、墓前に静かに手を合わせた。

 「彼らが死んでも、本人は戻ってこない」。坂本弁護士と県立横須賀高校で3年間、同じクラスだった森山武さん(61)は刑の執行を一つの節目と感じつつ、その胸中は複雑だ。

 「弁護士になって、困った人を助けるんだ」。夢をかなえ、被害者救済に奔走していた坂本弁護士。その姿を浮かべ、森山さんは思う。「坂ちゃんがもし生きていたら、事件を解明し、教訓とするためにも『執行すべきではない』と言っていたんじゃないか」

 「坂本君が亡くなった悲しみが癒えるわけではない」。そう話したのは、坂本弁護士と同じ横浜法律事務所の先輩だった小島周一弁護士(62)。墓前で死刑執行を報告した。だが「区切りでも何でもない。これからも彼を思い起こして、みんなで語り合うことに何も変わりはない」

 松本元死刑囚は最後まで何も語らなかった。その教祖を妄信した元幹部らの口から説明を聞く機会も、なくなった。小島弁護士は「オウムがなぜ生まれ、暴走したのか、そして同様の事件が起きる可能性をどう減らしていくのか。残された我々は社会に問い続ける必要がある」と強調する。

 同じく先輩の岡田尚弁護士(73)は教団の台頭を許した背景を「人間の不安定さと世の中の閉塞(へいそく)感があったのではないか」とみる。それは、格差や貧困が広がる今の時代にも通じる。そう感じている岡田弁護士は「オウムを、人を殺すような組織にさせたのは何か。しっかりと追究していかなければならない」と力を込めた。

 法要後、参列者は市内の飲食店に移り、故人をしのんだ。その席に、坂本弁護士の母さちよさんも顔を出した。出席者によると、さちよさんは、救出活動に尽力した元同僚らに改めて感謝を伝えた。そして死刑執行について、こう話したという。「死刑が執行された人たちの親御さんの気持ちを考えると、言葉にできない」

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