希望する地元の小学校への通学を重度障害を理由に認めず、県の特別支援学校を就学先に指定したのは差別に当たり違法だとして、川崎市の光菅和希君(6)と両親が同市と県に小学校への就学を認めるよう求めた訴訟の第2回口頭弁論が31日、横浜地裁(河村浩裁判長)であった。原告側は、小学校への通学を早期に認めるよう訴えた。
母親の悦子さんは意見陳述で、小学校での交流授業が今月上旬に再開したことに触れ、「小学校でみんなと一緒に学びたいという和希の願いを一日でも早く実現させてほしい」と強調した。
県側は同日までに、就学先指定までの経過などについてまとめた準備書面を提出。「特別支援学校には安全・安心や教育の専門性において優れた面があり、市教育委員会および県教育委員会の判断は妥当」と主張、「保護者側との合意形成に向けて最大限の努力をした」としている。一方、原告側代理人弁護士は同日の意見陳述で「保護者の意向を最大限尊重したといえる事実はない」と反論した。
次回は2019年1月23日の予定。
「ともに学ぶ」一日でも早く実現を 母・悦子さん
交流再開、笑顔あふれ
(地域の小学校での交流授業は5月から6月にかけて計7回実施され、その後中止されていたが)10月3日に再開され、週1回、1時限(45分)ペースで授業を受けています。
まずはじめに、交流が再開されたことによる和希の変化について述べさせていただきます。交流がなかった期間、和希は表情の変化も乏しく、問い掛けに対する反応も薄いものでした。交流が再開され、和希は交流をしていたころの様子に戻りつつあります。
交流先の小学校の校舎に入っただけでにこにこし始め、交流が終わって自宅に戻ると、笑いながら何かを話しています。交流再開の前夜に、和希に「あすは小学校に行くよ」と伝えて早く寝て早く起きるように言うと、いつもの就寝時間より30分以上前に寝て、当日は7時30分きっかりに自ら起床しました。これは本人が状況を理解し、小学校に行くために自分自身を管理していることの表れであり、意思表示であると言えます。
教室に入っていくと、和希はやはりみんなの様子をよく見ています。そして、クラスメートが授業中はおしゃべりしないでいるのを見ると、状況を把握して、落ち着いて授業を受けることができています。国語や道徳の授業では、お友達の発表や意見もよく聞いて、みんなが笑ってしまうようなことをお友達が発言したときも一緒になって笑っています。家に帰ってからその日の授業内容である物語の質問をすると、きちんと答えていました。音楽の授業でも、みんなと一緒になって楽しそうに鍵盤ハーモニカを演奏したり、先生の後に続いてみんなと一緒に歌も歌い出しました。1時限の交流が終わって、帰るときはいつも寂しそうにしています。
「お客さん」ではなく
交流は再開されましたが、時間や回数も交流中止前の状況と同じです。週1回45分と短い上、私語が禁止される授業の時間ではクラスの子と話す時間も限られています。授業やクラスの雰囲気に慣れたころには残り時間が5分から10分となってしまい、授業が終わると早々と校舎から出されてしまいます。これでは子ども同士の触れ合いが少なく、お互いが理解し合う時間がありません。
授業の終わりにいつも和希のところに来て「また来てね」と言ってくれるお友達が、和希にとって大切な存在になっています。その一方で、「また来てね」と言われる状況は、お友達にとって同じクラスの仲間としてではなく、和希を「週一回来るお客さん」として認識を強めている状況です。本当は「お客さん」ではなく、みんなと同じ1年生であり、一緒に学んでいく仲間として成長させてあげたい。和希は、もうすぐ7歳になります。今が一番大切なときです。いまこのときに和希にとって成長できる環境を整えてあげたい。本人が望んでいる学校で、たくさんのお友達の中で一緒に勉強させたい。お友達と一緒にいろいろなことを見たい、やってみたいといういまの和希のあふれる気持ちを大切にしてあげたいです。
子どもの成長は、本当に待ってくれません。いまはいましかなく、本当に大事な時期です。小学校でみんなと一緒にいることで和希の笑顔も増えています。一緒に学びたいという和希の気持ちを一日でも早く実現していただけることを願っています。
「障害児、地域の小学校で学ばせたい」 原告の両親が意見陳述