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ポールと共演  カバーバンド「パロッツ」
探究心が心射止める ビートルズものがたり

社会 | 神奈川新聞 | 2018年10月31日(水) 15:56

六本木のライブレストランで、ビートルズを歌い盛り上げる「パロッツ」。(左から)リーダーの野口威、佐藤仙、松山朋弘、星宣彦
六本木のライブレストランで、ビートルズを歌い盛り上げる「パロッツ」。(左から)リーダーの野口威、佐藤仙、松山朋弘、星宣彦


 「妻の誕生日パーティーで、演奏してくれないか」

 その依頼主は来日公演のため「ザ・ペニンシュラ東京」(東京都千代田区)に宿泊していたポール・マッカートニー(76)だった。

 東京・六本木のライブレストランでザ・ビートルズをカバーし歌うバンド「パロッツ」のリーダーの野口威は2013年11月18日、東京ドームでポールのライブを観た帰路、事務所の社長に電話で知らされ耳を疑った。

 「ポールのライブを聴きに行くことがあっても、僕らがポールの前で、演奏する日がくるなんて」

 サプライズパーティーでは、野口らの演奏に合わせて、ポールが歌う場面もあった。同じ旋律を口ずさんだ夢の夜を、きのうのことのように覚えている。

聴き手を“あの日”にいざなう



 パロッツは1990年4月に結成。「日本一のビートルズバンドになる」とまい進してきた。週に4、5回出演するステージでは、客から募ったリクエストをもとに、1日に4度ライブを展開。立ち見が出ることもある。

 「物まねでは終わらない」

 ビートルズの音楽に出合った時の、衝撃を思い出してほしいと、ジョージ・ハリスン役を務める松山明弘は「恋をするなら」を披露する際、52年前の来日公演でジョージが持っていた12弦ギターを奏でるなど、聴き手を“あの日”にいざなう工夫をちりばめる。


 うわさは海を越え、ビートルズが生まれた港町リバプールにも届いた。同地で1983年から開催されているビートルズ愛好家の祭典「インター・ナショナル・ビートル・ウイーク」に94年、東洋人として初めて出演。2000年にはトリの大役を務めた。

 「東京でライブをするなら、六本木でパロッツを観ろ」。評判は来日公演を行う欧米のアーティストの間にも広がり、オリビア・ニュートンジョン、ノエル・ギャラガーらも来店した。


ポール・マッカートニー(右から2番目)と共演したパロッツ=ザ・ペニンシュラ東京(東京都千代田区)、2013年11月
ポール・マッカートニー(右から2番目)と共演したパロッツ=ザ・ペニンシュラ東京(東京都千代田区)、2013年11月



 「ポールは、雲の上の存在」。その距離を1本の電話が縮めた。

 「(動画投稿サイト)ユーチューブを見て、君らのことを知ったんだ。僕らのために演奏してほしい。店を借り上げたっていい」

 それは17歳年下の妻、ナンシーが54歳になる11月20日に、ホテルで開くパーティーへの出演依頼だった。

 誕生日当日。皇居の堀が眼下に広がる24階のフロアには、祝いの花があふれていた。甘い香りが漂う中で、ポールとナンシー、2人だけのために準備したライブは、午後10時に開演。ポールからリクエストされた「バースデー」で幕を開けた。

 「プリーズ・プリーズ・ミー」、「シー・ラヴズ・ユー」。ビートルズの名曲が続いた序盤。ポールはメンバーひとりひとりに「君たち、ビートルズみたいだね!」と伝えてくれた。

 妻の手を取り曲に合わせて踊るポールを見て胸が熱くなった。

人を楽しませたい



 「特別な夜に、自分たちの演奏が寄り添っていることがうれしかった」と野口。全身を使って楽しむ一方で、プロデューサーのように真剣に曲に聴き入るポールの姿に、「自分が作った音楽だけど、気付いていない発見があるんじゃないかと考えているようだった。この人は、心底ビートルズが好きなんだと感じた」という。

 そして音楽家としての探究心が、ファンの心を射止める力になっているのだと悟った。

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