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歴史体感の場に 川崎の国指定史跡 市教委が整備案

社会 | 神奈川新聞 | 2018年10月18日(木) 02:00

税として徴収した稲穂などを納めていた橘樹郡家の正倉跡=高津区千年
税として徴収した稲穂などを納めていた橘樹郡家の正倉跡=高津区千年

 川崎市教育委員会は、市内唯一の国指定史跡である古代の役所跡「橘樹(たちばな)官衙(かんが)遺跡群」(高津区千年、宮前区野川)の整備基本計画素案をまとめた。計約1万5千平方メートルに及ぶ同遺跡群を四つのゾーンに分け、公有地化が進む地域から史跡公園として整備を進める計画。稲穂などの収蔵倉庫だった正倉の復元のほか、デジタルコンテンツを用いて古代の景観を映し出すなど歴史を学び、体感できる場にしていく方針だ。

 同遺跡群は古代律令(りつりょう)制度に基づく地方支配の実態を伝える重要な遺跡で、7~10世紀の地方行政組織「郡」の一つである橘樹郡の役所跡の「橘樹郡家(ぐうけ)(郡衙(ぐんが))跡」と、隣接する古代寺院跡「影向(ようごう)寺遺跡」で構成される。2015年に国指定史跡として最初の指定を受け、今年6月には文化審議会が約3千平方メートルのエリアを追加指定するよう答申した。

 素案は、専門家や地域住民でつくる委員会の助言を踏まえ市教委が策定。遺跡群は、寺院遺跡や古代の役所跡など、エリアごとに発見された遺跡や遺構の性格が大きく異なっているため、区の境界や地形なども踏まえ、「影向寺ゾーン」「橘樹郡家跡伊勢山台・蟻山ゾーン」など四つのゾーンを設定し、それぞれについて整備計画を策定した。


正倉などを復元した史跡公園のイメージ図
正倉などを復元した史跡公園のイメージ図

 計画期間は19年度から30年間。最初の10年間で、公有地化された地域から保存、整備を進めていくとしている。すでに公有地化されている「たちばな古代の丘緑地」エリアを先行的に整備。同エリアには、税として納めた稲穂などを保管し、公的倉庫の役割を果たした正倉跡(高床式)があったことが確認されている。市教委によると、正倉は一辺が7~8メートル、高さ7~9メートルの規模と推定されている。

 同エリアや影向寺のあるエリアは現在、史跡案内板近くにQRコード付きのパネルを試験的に設置。スマートフォンをかざすと、古代にあった正倉や三重の塔の映像を画面で見ることができるようになっている。

 整備では、こうした拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などのデジタルコンテンツを増やし、橘樹郡家や影向寺の景観を来場者が五感で体験できるようにする。また、学習の場として案内施設も設けるほか、展望スペース、駐車場なども整備していく。

 市文化財課は「川崎の歴史を知る上で重要な史跡。市内外の多くの人に訪れてもらうとともに、授業などでも活用してもらい、貴重な遺産を継承していきたい」としている。

 
 

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